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授業紹介

生命倫理

3年生の選択科目「生命倫理」では、京都府宇治市にある京都認知症総合センターの相談員(社会福祉士)桝村雅文先生から、「認知症ケアの倫理」について、お話を伺いました。

京都認知症総合センターには、「カフェほうおう」という常設型の認知症カフェがあり、桝村先生はそこで当事者やご家族の支援に取り組まれています。

認知症カフェとは、「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき集う場」と定義されていること、そして、その目的は「認知症の疾病感を変えること」であると、まず教えていただきました。また、認知症の支援に携わるなかで、ご本人やご家族から学ぶことが多くあり、そのことが認知症ケアのあり方や専門職としての支援についてより深めて考えていく原動力となっていることを、具体例を挙げて説明していただきました。 

 学生の感想を紹介します。

・認知症ということに対して、ネガティブなイメージが多いことから、なかなか認めることができない方が、意欲的に何かをする、何をしたいか引き出すのは難しいと感じました。認知症の方からすると、分かってくれないと思うこともあるだろうし、家族からすると「また同じこと言ってる」など、家族だけどなかなか理解し合えないことも多くあると思います。そういった時に、サポートしてお互いの意見を理解できるのが私たちの役割だというふうに思いました。目で見て分かる症状ばかりではないので、周りからは気付かれにくいこともあるだろうし、なかなか人に話せない悩みを抱えている人が少なくなるように、もっと認知症に対して理解が深まればいいと思いました。

・「何かしたいことはありますか?」などの前向きな質問だと思っていた質問が、実は、認知症の方にはしんどい質問だったことを知り、認知症の方の思いを可能なかぎり理解した上で会話や質問をすることが大切であることを学びました。また、すべての事に手を貸すのではなく、できることと困難なことをしっかり見極めて、自立して活動できることができるだけ少なくならないような援助の仕方を知っていくことが大切だと感じました。

・「正しい情報、アドバイスを伝えることが全てじゃない」という先生の言葉がとても印象に残りました。専門職だから患者さんにとって良い情報を伝えるべきだと考えていたのですが、患者さん自身はそれによって否定された気分になられることもあると知って、良かれと思ってやったことが思いがけず傷つけてしまうことがあるということを、心に留めたいと思いました。だからこそ、患者さんの気持ち・考えに寄り添って何が求められているかということを理解して、共感するのかアドバイスするのか判断できるようになりたいと思いました。

 

言語聴覚士は認知症の方の神経心理学的評価を中心に支援に関わる専門職ですが、「認知症」や「認知症の方の支援」について、これまでのイメージから一歩先に進む考えを持つ機会になったのではないでしょうか。