3年生後期の科目「言語聴覚障害学総合演習」では、長期の臨床実習に出る前の学生に必要な、知識と技術を習得するため、臨床現場で活躍するセラピストをお招きした実践的な講義を数多く行っています。
1月20日には、介護老人保健施設に勤務されている作業療法士の先生から、「摂食嚥下障害者に対しての姿勢調整」について、講義と演習を交えた授業を受けました。
食事をする際に「食べやすい姿勢」「食べにくい姿勢」の説明を受けた後、実際にさまざまな姿勢で飲食をする実習を行ったり、ベッド上で座る際の姿勢調整のポイントを学び、実践を行いました。その他、患者さんに使用してもらう食具(持ちやすいスプーン、箸など)を数多く紹介していただき、実際の使用体験をしました。
授業を受けた学生の振り返りをいくつか紹介します。
・今日の授業ではたくさんの実践があり、とても楽しい2時間でした。「自助食器」は他の授業内でも言葉が何度か出てきましたが、あんなに様々な種類の食具があるのか、と思いました。おはじきを食べ物に見立てて実際に「すくう・つかむ」などの体験をしましたが、滑り止めや持ち手の形など細かいところまでたくさんの工夫がされていて、将来は患者さんだけでなく私の家族にも一人一人に合った食具を選びたいと感じました。
・様々な食具を触ってみて、麻痺などで手指を動かしづらい人たちでも工夫によって食べやすくすることが可能なのだと思いました。いろんな種類の食具を知っていると、その人に適した食具を提案することができるのでそのような知識も持っておくといいなと思いました。
・ポジショニングは、食事をする上でとても大切なことだと改めて感じました。適切なポジショニングをすることで、食欲を促し、食事の自立に繋がることが分かりました。また、姿勢の崩れにより飲み込みが悪くなり、食事の中断や食事時間の延長となり、それは介護負担にも繋がっていくことが分かりました。
車いすのポジショニングでは、車いすクッションの素材や形状が座位姿勢に影響することが分かりました。実際にいろいろな種類のクッションを試してみて、健常者の私達でも、それぞれ座り心地の良いクッションがあり、人それぞれ違うことを学びました。座位姿勢の安定にも影響してくるので、患者さんに合った車いすクッションを見つけることが大切だと感じました。
言語聴覚士が関わることが多い摂食嚥下障害の方への支援について、食べる・飲み込む機能に影響する姿勢調整・食具の選択の実践的な学びとなったようです。また、この分野では他職種との連携が重要であることも、改めて知る機会となったのではないでしょうか。これらの学びを、ぜひ臨床実習に生かしてほしいと思います。