2021.11.05 社会福祉って何?

高齢者って何歳から?65歳以上ってホント?

日本は「高齢社会だ」といわれていますが、「高齢者」って何歳からかご存知でしょうか?
おそらく多くの方は、「65歳以上」と答えるように思います。

実際、多くの先進国における高齢者の定義は65歳以上となっています。
しかし、実は高齢者の定義について明確な基準は設けられていないのです。

日本でも一般的に高齢者というと「65歳以上」とされることが多いのですが
実は法律によって高齢者の定義は異なっています

高齢者に関する法律を見てみると以下のように高齢者が定義づけられています。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号):高齢者を55歳以上と定義
高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号):高齢者を60歳以上と定義
高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号):前期高齢者を65歳以上74歳以下、後期高齢者を75歳以上の者と定義

他にも
福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成5年法律第38号):心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号):高齢者又は障害者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるものその他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者
長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号):居住者の加齢による身体の機能の低下。日常生活に身体の機能上の制限を受ける高齢者
のように、年齢ではなく、身体機能上の制限や機能低下している者を「高齢者」としている法律もあります。

高齢者についての研究などを行っている一般社団法人日本老年医学会(老年医学に関する研究の振興及び知識の普及、会員相互及び内外の関連学会との連携協力を行うことにより、老年医学の進歩を図り、もって我が国における学術文化の発展に寄与し、社会に貢献する)と、日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会の7学会で構成されている日本老年学会(国内においては老年学研究者の交流を増やすとともに社会に対する老年学の啓発を行い、対外的にはわが国の老年学を代表する重要な組織)が、高齢者の定義と区分について検討を始めました。

そして、2017年の高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言のなかで、高齢者の「若返り」について指摘し、65~74 歳を准高齢者75~89 歳を高齢者90 歳~を超高齢者と再定義することの意義を唱えています。

この再定義の根拠として、内閣府が行った平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果をあげています。
この調査は全国の 60 歳以上の男女 6,000 人(うち有効回答は3,893 票)に、日常生活の行動・意識に関する事項、日常的楽しみに関する事項、衣食住に関する事項などをアンケートで回答を求めたものです。

このうち、「自分が高齢者だと感じるか」という質問に対し、「はい」43.4%、「いいえ」51.3%という結果になりました。
「はい(高齢者であると感じている)」と答えた方のうち、『75~79歳』で 66.2%、『80~84歳』で 78.7%、『85歳以上』で 85.6%となっており、75歳を超えても自分が高齢者だと感じていない方も多いということがわかります。

他にも、長寿社会における男女別の意識の傾向に関する調査では、30歳以上70歳未満の人3000人を対象に「高齢者というと、何歳くらい以上の人だと思いますか」と尋ねたところ、70歳以上と答える方が多いいう結果になりました。


この調査は平成元年に行われたものですので、今は「高齢者」というともっと高い年齢をイメージする人も増えているのではないでしょうか。
また、この調査は70歳未満の方に聞いているため、70歳以上と回答する人が多くなりましたが、70歳以上の方にも調査してみると異なる結果になる可能性もあります。

このように国民の意識は65歳では「高齢者ではない」と感じている人が多いようですが、なぜ65歳以上を高齢者としているのでしょうか。


日本で高齢者が「65歳以上」といわれる大きな要因の1つは介護保険法だと思います。
介護保険法は、40歳以上の国民が全員加入する保険で、保険料を納めることで、介護が必要になった時に、介護サービスの利用料が保険料から賄われます。
この介護保険法の被保険者は、65 歳以上の方(第1号被保険者)と、40 歳から 64 歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられています。

そして、第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
つまり、65歳以上になると、どのような人でも「介護」の対象になるということから、「高齢者」というイメージになっているのではないでしょうか。

また、後期高齢者医療制度(前述の高齢者の医療の確保に関する法律)というものもあります。
この制度では65歳~74歳の方を「前期高齢者」75歳以上の方を「後期高齢者」と分けています。
後期高齢者の方は、病院など医療機関にかかった場合、原則として医療費の1割の支払いで済むようになります(現役並みの所得がある人は3割負担)。
前期高齢者の方は、一定の障がいがあると認められると医療費の自己負担額が低くなります。

この高齢者医療制度で用いられる前期高齢者、後期高齢者の区分もよく使われます。
介護保険法と後期高齢者医療制度の対象から、65歳以上が「高齢者」と日本ではいわれているのではないでしょうか。

みなさんは、「高齢者」は何歳からだと思いますか?

浜内彩乃

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