これまで、本ブログで、持続可能な開発目標(SDGs)の17の各目標と本学の人間健康学群での学びの関連性についてご紹介してきました。SDGsは、健康と福祉(目標3)を含む17の目標から構成されており、全ての人々が健康で幸福な生活を送ることを目指しています。この目標を達成するためには、学部横断的な取り組みが必要と考えています。
まず、健康は、医学的な病気の不在だけではなく、身体的、精神的、社会的な観点での健康な状態を意味します。この包括的な健康観を実現するためには、医学や公衆衛生学のみならず、心理学、社会学、栄養学、運動学、経済学、公共政策、環境学など多様な学問分野の知識と協力が不可欠です。例えば、精神的健康の向上には、心理学の知見が重要ですが、それだけでなく、社会的支援や経済的安定も必要です。経済学の知識を持つ人々が貧困対策を講じ、社会学の知見を持つ人々がコミュニティの支援ネットワークを構築することで、精神的健康の向上に寄与することができます。
次に、健康には環境要因が大きく影響します。気候変動や環境汚染は直接的に人々の健康を脅かし、呼吸器疾患や感染症のリスクを高めます。環境学の知識を持つ専門家と、公共政策を研究する学者が協力し、環境保護政策を策定・実施することで、健康リスクを軽減することが可能です。さらに、都市計画や建築学の専門知識を持つ人々が、安全で健康的な生活環境をデザインすることも重要です。
また、教育の役割も重要です。健康教育を通じて、個人が健康に関する知識を持ち、適切な行動を取ることができるようになることが重要です。教育学の専門家が、効果的な健康教育プログラムを開発し、実施することで、予防医学の観点から健康増進に寄与します。これには、栄養学の知識を持つ専門家が、バランスの取れた食事の重要性を教えることも含まれます。
最後に、健康の公平性を確保するためには、ジェンダーや社会的背景の違いを考慮したアプローチが必要です。ジェンダー研究や社会政策の専門家が、健康サービスの提供において不平等を解消するための政策を提案し、実施することが求められます。例えば、マイノリティの健康ニーズに応じたサービス提供や、経済的に困難な状況にある人々への支援が必要です。
総じて、SDGsの健康目標を達成するためには、学部横断的な取り組みが大変重要になります。多様な専門知識と協力を通じて、包括的で効果的な健康増進策を講じることが可能となり、全ての人々が健康で幸福な生活を送るための基盤が築かれます。人間健康学群は、本学の4つの学部(健康科学部、看護福祉リハビリテーション学部、キャリア形成学部、こども教育学部)を横断的に学べるカリキュラムとなっています(Link)。ぜひ、人間健康学群で、学部横断的にSDGsの健康目標を追求し、健康に関する国内外の課題発見・解決力を高めて頂きたいと考えています。
文責 酒井浩二