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環境が行動を変える

何か目標を達成しようとすれば、継続した行動が重要です。たとえば、良い成績を修める、資格試験に合格などのために、勉強への意識を高めて行動を継続が重要です。

健康維持の場合も同様、食事、睡眠、運動など、自分で意識、努力した健康的な行動の継続が重要です。しかし、特に若い時代は不健康な行動があっても症状に出にくく、健康が当たり前のように感じやすい傾向があります。そのため、健康行動への動機づけが低く、意識、努力で健康的行動の継続は難しい面があります。

そこで、重要になるのが0次予防の考え方です。予防医学では、0次予防、1次予防、2次予防、3次予防があります(ブログ記事)。上記のように、個人の努力による健康行動の継続は1次予防となります。0次予防は、個人が自然と健康的行動をとる環境を地域、社会が設定・構築することです。

0次予防は、高齢者だけでなく、たとえば青年期でも重要です。若い時代の健康行動が、青年期、壮年期だけでなく、健康長寿に大きく影響します。また、0次予防は、地域や社会などの環境設定だけでなく、個人による環境設定でも実践できると思います。たとえば、早寝のために就寝前のスマホ利用時間を自分の意志で決めて順守することは、難しい面があります。しかし、スマホは就寝時は自室に置かない、特定時間以降は電源オフに設定するなどの環境設定で、早寝の健康行動を継続しやすくなると思います。もちろん、その環境を設定する意志や強制力は必要になりますが、習慣化により自然と継続されやすくなると思います。

心身の健康維持に向けて、個人の努力・行動継続に基づく1次予防と、社会・個人の環境設定に基づく0次予防は重要と思います。人間健康学群では、幼児期、青年期、高齢期など、多様な年齢期での0次・1次予防のあり方について理解を深め、調査研究しています。

文責 酒井浩二