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教育研究③:健康生活

生計就労と生きがい就労

超高齢社会をよりよくする実施策について考える課題レポートテーマ(リンク)で、提出後の振り返りの授業で以下の引用文献の一部を紹介しました。前田(2021)では、人生100年時代における生き方モデル、社会での活躍モデルの説明の中で、「生計就労」と「生きがい就労」について説明されています。

「生計就労」は、生活するうえで必要なお金を稼ぐための65歳(定年退職)までの就労です。しかし、現代の66歳以上の多くの高齢者は、気力・体力の面で定年退職前のように就労可能です。そのため、定年退職の年限を70歳に延長することが1つの生き方・活躍モデルとなります。しかし、2023年の平均寿命データに基づくと、このモデルでも71歳以降、11年から18年ほどの寿命があります。

「生きがい就労」は、自分の体力やライフスタイル、価値観に合わせた、66歳以降の就労です。年金を経済基盤としつつ、気力・体力があり働くことに生きがいを見出す人は、定年退職前のような勤務形態で就労します。66歳以降のさらなる加齢により気力・体力の低下を感じ始めたら、就労の日数・時間を減らし、その減らした時間分を自分の余暇に充てます。元気であれば、80歳、85歳以降も生活を充実させるために何らかの就労に関わります。つまり、ワーク・ライフ・バランスを取り、無理ない範囲で自分の人生を謳歌するための就労です。この生きがい就労により老後の生活資金も増え、定年退職後の生活をいっそうエンジョイできます。66歳以降の生きがい就労を充実させるために、定年退職前の65歳までにセカンドキャリアの準備が大事になります。

「生きがい就労」は、千葉県柏市兵庫県宝塚市など、いくつかの自治体で実践されています。本学の人間健康学群で、人生100年時代の生涯の生活の豊かさを考えていくうえでも、生きがい就労について学び、実践されている自治体や企業などに学外調査していく予定です。

引用文献
前田展弘 2021 シニア就労・社会参加の現状と課題─ 人生100 年時代のサスティナブルな社会の構築に向けて─.Aging & Health、第30巻、第3号、pp.6-9

(文責:酒井浩二)