年内最後の京都文化心理学では、京都に深く根付く「香」の文化を紐解きました。
テーマは「匂い袋」の調香体験。古来、平安貴族たちが衣に香を焚き染め、自らの個性を表現したように、学生たちにも「香りを設(しつら)える」という経験をしてもらいました。

京都が守り伝えてきた「香」の世界
京都には今も、数多くの香老舗がその暖簾を守り続けています。
今回、学生たちが手にしたのは、白檀(びゃくだん)や丁子(ちょうじ)、桂皮(けいひ)といった、古くからこの地で愛されてきた天然の香料です。
体験では、3つの見本の香りから1つを選び、配合を進めました。
教室内に広がるのは、どこか懐かしくも凛とした、京都の寺院や町家を彷彿とさせる香りです。

「匙(さじ)加減」という名の無言の教え
この体験の醍醐味は、同じ配合レシピを用いながらも、決して同じ香りは生まれないという点にあります。
スプーン一杯のわずかな量、あるいは粉末の混ぜ方ひとつ。 その「匙加減」ひとつで、香りの立ち上がりは驚くほど変化します。
学生たちの驚きは、まさに京都の職人たちが千年以上守り続けてきた「秘伝」の深淵に触れた瞬間でもありました。



結びに――香りを持ち帰るということ
京都という街は、こうした目に見えない「香り」の文化を大切にすることで、その品格を保ってきました。
学生たちが自ら調合したこの小さな袋は、単なる成果物ではなく、京都の美意識を自分なりに解釈し、形にしたものです。
カバンの中に忍ばせたその香りが、通学路のふとした瞬間に、その「気づき」を思い出させてくれることを願っています。
京都光華女子大学 健康科学部 心理学科
講師 黒川 優美子


