2026.02.17 ぼうさいらぼ

震度5強で、あなたの部屋にある「アレ」が凶器になる|高校生・大学生も今日からできる、コスパ最強の地震対策

地震で家具を固定する対策、賃貸だからと諦めていませんか?

私の家、リビングのテーブルのすぐ真上(低いところ)にガラス製のペンダント照明が吊るされてるんですね。
掃除するたびにその照明がブラブラ、地震があるたびに照明がブラブラ…「これ、外れて落ちてきたら照明割れちゃうな…」ボケーっと考えながらテーブルから席を立った瞬間。
ゴッッ!
と照明にヘッドバットするサトウですこんにちは。私が一番の家具破壊要因(前科n犯)です。

これは笑い話ですが、大きな家具だったら笑い事では済みません。震度5強を超える地震では、固定されていない家具は一瞬で「凶器」に変わります。
建物が新しいから私は大丈夫、そんな認識は大きな間違いです。大学生や賃貸住まいでも今日からできる「0円・コスパ最強の地震対策」を6分でわかりやすく解説します。

この記事でわかること

こんな人におすすめ!
  • 「新しい建物に住んでるから地震は大丈夫」と思っている方
  • 地震対策をしたいけど、何から始めればいいかわからない高校生・大学生
  • 「賃貸だから壁に穴を開けられない」と諦めている方
  • 今日できる地震対策を知りたい方

地震で人が亡くなる「本当の原因」

「地震で亡くなる」と聞くとどんな状況を想像しますか?

建物が崩れる、津波に飲まれる、火事が広がる……色々ありますが、内陸部で起きる直下型地震においては「圧死(建物や家具に押しつぶされて亡くなること)」が死因の大きな割合を占めています。

※東日本大震災に代表される「海溝型地震」の場合は、津波によって亡くなる方が多くなります。津波に関することはまた別記事で。

1995年の阪神淡路大震災では、亡くなった方の約8割が「建物倒壊・家具転倒による圧死・窒息死」でした。

死因別グラフ(阪神淡路大震災)

出典:厚生省大臣官房統計情報部(1996).「人口動態統計から見た阪神・淡路大震災による死亡の状況書」をもとに筆者作成

このトピックの話をするとき、一般的には阪神淡路大震災のデータが引用されることが多いのですが、2024年に発生した能登半島地震でも同様に、「圧死」と「窒息・呼吸不全」を合計した割合が6割超と最も高くなっています。

死因別グラフ_能登半島地震

出典:内閣府(2025).「令和7年版 防災白書」をもとに筆者作成

「建物倒壊」と「家具の転倒」どちらの要因が大きいの?

上記のデータや多くの文献では、これら2つの要因を分けて記載しているものはあまり多くありません。死因に関するデータですので、判定が難しいケース、あるいは背景まで詳細に記録されていなかったケースも数多くあったと考えられます。

この疑問については、最近調査されたエキスパートさんの記事が参考になります。この記事でも示されているように、家具の転倒で亡くなった方を把握するのは難しいですね。
参考:Yahoo!ニュース(2026).「阪神・淡路大震災から見落とされ続けてきた教訓 凶器は意外なものだった」

なお、この記事でも言及されていますが、ケガについてはある程度明らかになっており、近年発生した地震でケガをした方の約30〜50%が「家具類の転倒・落下・移動」が原因とされています。
参考:東京消防庁(2024).「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」

「私の家は最近建ったし、地震で倒壊する心配はないから安心❤️」と思っているあなた。
ここで一度考えてみてください。

あなたの部屋にある本棚、タンス、冷蔵庫。それが真夜中、あなたが寝ているときに地震で倒れてきたら?

まず逃げられません。

しかも、倒れてきた家具が出口を塞いでしまうと、たとえ建物が無事でも火事が起きたときに逃げられなくなる可能性もあります。つまり災害時には、あなたが愛用している家具が凶器になり襲いかかることもあるんです。

家具の転倒リスクが高まるのは
「震度5強」から

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震度のしくみを詳しく知りたい方はこちら

この記事で紹介した震度表を覚えていますか?
「震度5強:固定されていない家具が倒れることがある」でしたね。

5弱 大半の人が恐怖を覚える。棚の物が落下し始める。固定していない家具が動く
5強 行動が困難。固定されていない家具や補強されていないブロック塀が倒れることがある

ちなみに震度5強以上の地震、日本では年に何回くらい起きているでしょうか。
2000年以降だけで見ても、震度5強以上を記録した地震は165回!平均すると1年あたりおよそ6.3回発生しています(2026年2月18日時点)。
参考:気象庁「震度データベース検索」

「いつか来るかも」ではなく「いつ来てもおかしくない」——現在の日本では、この意識を常に忘れないようにしてください。

あなたの部屋の「凶器予備軍」チェック

今あなたが自分の部屋にいるなら、あたりを見回してください。以下に当てはまる家具はありますか?

凶器予備軍リスト
  • 背の高い本棚
  • タンス・クローゼット
  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ(胸より高い位置にあるもの)
  • テレビ台の上の大きなテレビ
  • 積み上げた段ボール・荷物

これらが「固定されていない」状態で置いてあれば、震度5強で転倒する可能性があります。

特に危険な場所
寝室
寝ている間に家具が転倒してくると逃げられない
廊下・出口付近
家具が転倒すると脱出経路が塞がれる
今すぐ確認しよう!:自分の部屋の出口(ドア・窓)を見てください。家具が転倒したとき、出口までの道が塞がれませんか?

高校生・大学生でもできる「ちょっと防災」アクション

ここが今回いちばん伝えたいところです。

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前の記事で紹介したAction2「耐震診断を行おう」の詳細はこちら

耐震診断は、高校生・大学生が自分でできることではありませんよね。家を買うわけでも建てるわけでもないし、親に「耐震診断して!」と言っても「はいはい」で終わるのが関の山です。

でも家具の転倒防止・固定は、今日から自分でできます。数百円から始められます。

「ちょっと防災」とは?

「完璧じゃなくていいから、できることをちょっとやる」という考え方です。
完璧な防災対策をしようとしてなかなか準備が進まないより、すぐに突っ張り棒1本立てる方が100倍マシです。

やることは大きく3つです。

Action1:転倒したら困る家具を把握する(0円)

まず自分の家や部屋を見回して「これが転倒したらヤバいな」という家具を確認しましょう。

優先順位:寝室にある背の高い家具 > 廊下・玄関付近の家具 > リビング・居室の家具

Action2:家具の向きや配置を変える(0円・コスパ最強!)

家具の向きを変えるだけで、転倒する方向をコントロールできます。本棚を「自分が寝ているところに倒れてこない向き」「倒れても出口を塞がない向き」に変えるだけで、助かる確率が上がります。これはお金がかかりません。今すぐにできます。「コスパ最強地震対策」の答えはコレですね。

他にも「自分の胸より高い位置に重いものは置かない」というちょっと防災もあります。考え方をもう少し進めて「腰より高い位置に重いものは置かない」でも良いと思いますね。使わなくなった重いものをクローゼットの一番上に押し込んでいるあなた、置き場所を見直すチャンスです。

Action3:家具固定グッズを使う(数百円〜)

よく使われる家具転倒防止グッズは以下の3種類です。

突っ張り棒タイプ

家具の上部と天井の間に突っ張り棒を立てる方法。取り付けが簡単で賃貸でも使いやすい。

※天井が石膏ボードの場合は補強板が必要

家具固定_突っ張り棒

L字金具タイプ

家具を壁にネジで固定する、最も確実な固定方法。家具と壁にネジ穴が開くので注意!

家具固定_L字金具

粘着マットタイプ

家具の底面に貼る滑り止めマット。テレビ・家電など小型のものに有効。賃貸でも使いやすい。

※大型家具への効果は限定的

賃貸でもできる!原状回復OKの地震対策

「賃貸だから壁に穴を開けられない」という声をよく聞きます。そこで賃貸でも使える方法を整理しておきましょう。

これならできる!
  • 突っ張り棒タイプの家具固定グッズ:天井を傷つけない補強板セットがある
  • 粘着マット・耐震ジェル:剥がせるタイプを選ぶ
  • 家具の配置変更:お金もかからず最高!
  • 胸(腰)より高いところに重いものを置かない
確認が必要!
  • テープタイプのL字金具:壁紙に糊残りがあるかも?
  • L字金具:管理会社によっては施工可能な例も
ちょっと難しそう!
  • 家具と家(壁や天井)を直接固定:原状回復が大変…
ここだけ覚えよう:「賃貸でも家具転倒対策はできる!」
大切なのは「賃貸だから家具の転倒防止は何もできない」と思いこまないことです。突っ張り棒と粘着マット、そして家具が倒れてきそうな所で寝ない!この3点だけでも、何もしないよりずっとマシです。

「うちは大丈夫」は危険!
家具から見直す地震対策

新しい建物に住んでいても、家具が固定されていなければ地震によって亡くなる可能性はあります。逆に言えば、家具の向きを工夫したり、家具をしっかり固定するだけで生存確率は確実に上がります。

家具の配置の見直し・転倒防止は、地震対策の中でも高校生・大学生の皆さんが「自分で」「今日から」「ほぼ無料で」始められる数少ない行動のひとつです。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
免責事項

この記事は著者の研究・教育成果をもとに作成したものです。大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。防災には現場の状況に応じた判断が必要です。記事に含まれる情報の活用は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。

参考・出典

・厚生省大臣官房統計情報部(1996).「人口動態統計から見た阪神・淡路大震災による死亡の状況書」
内閣府(2025).「令和7年版 防災白書」
Yahoo!ニュース(2026).「阪神・淡路大震災から見落とされ続けてきた教訓 凶器は意外なものだった」
東京消防庁(2024).「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」
気象庁「震度データベース検索」

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