3月3日が終わり、本学の聞光館に飾られていた雛人形はすっかり片付けられましたが、京都では現在の「新暦」だけでなく、1ヶ月遅れの4月3日前後(旧暦)にひな祭りをお祝いする習慣が残っており、まだ人形を飾っているところもあります。
雛人形の段飾りでは、最上段に男雛(お殿様)と女雛(お姫様)、2段目に 三人官女、3段目に 五人囃子、4段目に は随身(ずいじん)と呼ばれる高齢の男性と若者が飾られますが、この2人の間には、ごちそうのお膳と菱餅が飾られています。菱餅は名前の通り菱形で、色はピンク・白・緑の三色ですが、その由来を知りたくなり、調べてみました。
菱餅の形の由来には諸説あるようで、その一つに水草の種子であるヒシの実の形という説があります。ヒシは繁殖力が強く、その形を模すことで子孫繁栄や長寿の願いが込められていたようです。また、ヒシの実はとがっており、節分のヒイラギと同じ魔除けの意味があるそうです。その他、ヒシの形が心臓の形と似ている、ヒシの実は滋養強壮に良いとされ(免疫力を高める有機ゲルマニウムを含む)、生命力の象徴であったことなど、子どもが健やかに育つことを願うことに繋がるようです。
また、菱餅の色については、冬の寒い季節から雪(白)が溶け、生命力を表す新芽が出て葉(緑)になり、美しく香り高い桃の花(ピンク)が咲くように、立派な女性に成長するようにとの願いが込められているそうです。現代のように医療が発達していなかった時代に、子どもが健やかに育つことへの祈りを込めて、おひなさまを飾っていたのですね。
和菓子は、日本の四季のさまざまな景色を見立てて作られる美しいものも多いですが、菱餅は、形はシンプルでありながら、冬から春に向かう景色とともに「人の成長への願い」を見立てたお菓子なのだと、理解しました。
余談ですが、40数年前の小学校でひな祭りの日に菱餅に似せた三色ゼリーが出ていたのを懐かしく思い出したのですが、現在でも京都で販売されているようで、嬉しくなりました! (関 道子)
