京都光華女子大学 健康科学部 医療福祉学科 社会福祉専攻 ニュース ストレングスモデル~「できないこと」より「できること」に着目~

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ストレングスモデル~「できないこと」より「できること」に着目~

「ストレングス(strengths)」という言葉を聞いたことはありますか?
福祉の業界で、この言葉は支援の基本となる非常に重要なワードになります。
日本語では、「強さ・強み」「能力」と表現されることが一般的です。

昔は、病気や障害がある人々に対して、本人が「できないこと」に着目し、治したり、支援をしたりすることを重視していました。
こうした考え方を「医学モデル」と言います。
医学モデルは、その名前の通り、医師や看護師など医療従事者が持っている視点です。
骨折している骨をつなげるようにしたり、悪い腫瘍を取り除いたりすることで、その人が元気に活動できるようにするという視点ですので、医学モデルも非常に重要です。

ところが、中には治療ができない病気や障害もあります。
例えば、右腕を切断された方がいた場合に右腕を治すことはできませんよね。
そうした方々に対して、医学モデルでは右腕がなくて、一人では「できない」から支援をするという発想になります。

それに対して、福祉業界(発端は精神障害者への支援)では、「できない」ことに着目するのではなく、「できる」ことに着目しようという考え方が生まれました。
それが「ストレングスモデル」です。

先ほどの右腕がない方で考えると、左腕で「できる」ことがある、少しのサポートで「できる」ようになる、補助器具を使えば「できる」ということに着目するということです。

このストレングスモデルを提唱したチャールズ・ラップは、ストレングスモデルの6原則を説明しています。

①障害者は回復し、生活を改善して質を高めることができる
②焦点は病理でなく個人の強みである
③地域は資源のオアシスとして捉える
④利用者は支援プロセスの監督者である
⑤相談援助者と利用者の関係が根本であり本質である
⑥相談援助者の仕事の場所は地域である。

この原則を読んでもらえたらわかるように、「ストレングス」は個人がもっている能力だけに限っていません。
その方が生活している地域などの環境も「ストレングス」であると考えるのです。

例えば、Aさんという京都光華女子大学の学生がいるとします。
Aさんの個人のストレングス
真面目 福祉が好き 漫画が好き 優しい 努力家
ということになります。

Aさんの環境のストレングス
家族と住んでいる 大学に通っている 友達がいる バイトをしている
ということになります。

そうしたストレングスに着目して、Aさん自身がそうしたストレングスを活用自ら「できる」と感じ、実行していけることを目指します。

医学モデルの場合には、障害や病気を「治してもらう対象」であった方々が、このストレングスモデルの考え方では「自ら考え、自ら決定していく」という方々になります。
先ほど書いた6原則のうちの「④利用者は支援プロセスの監督者である」というのは、このように支援を決めるのは利用者(障害者)自身であるということです。

私たちソーシャルワーカーはこのストレングスモデルに基づいて支援を行います。
そのため「~してあげる」という言葉は使いません。
私たちが何かをするのではなく、利用者自身が支援者を使えるようにするのです。

先ほど、Aさんを例に挙げましたが、ストレングスモデルは全ての人を対象にすることができます。
障害のあるなし関係なく、人が豊かに自分らしく生活していくうえで重要な視点です。
そのため、社会福祉専攻の授業の中や、実習中には、自分自身のストレングについて考えてもらう時間も多くあります。

具体的にどいった方法をとるかというと
1,自分の個人のストレングスは何か、環境のストレングスは何かを考える
2,自分が達成したいと思っていること(例:国家試験合格、友達と仲良くなる等)をあげる
3,達成したいことを達成するためにストレングスをどのように活用できるかを考える
ということです。

こうした作業を行ってもらうと、「私にはストレングスなんてない」という学生が出てきます。
そうしたとき、教員や実習指導者は「本当にそうだろうか?」と問いかけます。

大学に入学している、それだけでストレングスになるのです。
大学に入学しているということは、それだけの学力があった、それだけの経済力があった、大学について調べる力があった、大学について教えてくれる人がいた、大学に通う力がある・・
それだけでいくつもその学生の強みを考えることができます。

またそうしたことに対して「そんなこと大したことじゃない」「強みになんかならない」という学生もいます。
でも考えてみて下さい。
本当に「大したことではない」のでしょうか?

大学に入学しようと思うと、小中高校と卒業しなければなりませんし、大学を調べ、願書を出して、受検して合格し、さらには入学手続きを行い、学費を納入しなければなりません。
これらを本当に「大したことではない」と感じるのであれば、これらのことを大したことがないと思えるような環境・能力を持っているということです。

さらに自分が「大したことない」と思っていると、他の人のストレングスを見つけることができなくなります。
「人のことだったらストレングスと思える」という学生もいますが、
「大学に入学するなんて当たり前」と思っている人に「大学に入れるってすごいね」と言われて素直に喜べるでしょうか?

他人のストレングスに気づき、認め、それを活用できるようになるためには、まず自分のストレングスに気づき、認め、それを活用できるようになる必要があります。
そして何よりストレングスを持たない人は存在しない、全ての人はストレングスを持っている、と考えます。

みなさんは自分のストレングスは何でしょうか?
そのストレングスを活用できていますか?
「見つからない」「活用できていない」という方も、社会福祉専攻で学ぶ中で必ず見つけていくことができるようになります。
「ストレングスモデル」が良いなと感じた方はソーシャルワーカーに向いているかもしれませんよ。

浜内彩乃


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