2022.12.22 社会福祉って何?

さまざまな働き方~障害の有無に関係なく働ける社会へ~

私たちは社会の中で生きています。
そして、その社会の中で、社会的役割を担って生きています。

例えば、私自身は「教員」「研究者」という社会的役割を担っており、専門分野について研究をしたり、学生に研究内容を教えたりする役目を果たしています。

このように
何らかの社会的役割を持ってそれに従事することを「社会参加」といいます。
社会参加は、心の豊かさ生きがいが得られるためにも非常に重要です。

社会参加の方法は多様ですが、学校を卒業してから、高齢者になるまでの間、「働く」ことが社会参加になる方が多いでしょう。
しかし、障害が「働く」ことへの障壁になってしまうことがあります。
そのため障害があっても社会参加ができる、働くことができるように、さまざまな働き方が提案されています。

まず、社会で働く多くの人は、「一般就労」と呼ばれる働き方をしています。
これは企業等と労働契約を結んで働く一般的な就労方法になります。

そして、障害者手帳を所持している方の場合には
「障害者雇用」と呼ばれる働き方を選択することができます。
障害者雇用促進法において、43.5人以上の従業員を雇用している民間企業に対して、雇用する労働者の2.3%に相当する障害者を雇用することを義務づけています。
この2.3%という数字を「法定雇用率」といいます。

障害者雇用では、障害者手帳を取得している方に向けた求人に応募するため、応募の段階から、その方の障害についてや、配慮が必要なことなどについて会社に伝えます。
そして採用された後も、働くにあたって必要な配慮などを受けながら仕事をすることができます。

また、従業員数が多い企業の場合、障害者雇用で採用する従業員の数も多くなります。
そのため、特例として会社の事業主が障害者のための特別な配慮をした子会社を設立し、障害者雇用の方を雇うことができます。
この子会社のことを「特例子会社」といいます。

親会社で働く場合には、周囲には健常者の方が多いのですが、特例子会社の場合には、従業員の4割~6割程度と障害者の方が多くなります。
このように、障害者雇用の中でも、どのような会社で働くかを選択することができます。

しかし厚生労働省の「令和3年障害者雇用状況の集計結果」によると、雇用障害者数は59万7,786.0人と過去最高を更新しましたが、障害者の雇用が義務付けられている企業のうち、法定雇用率を達成している企業の割合は47.0%に留まっています。

平成30年5月の平均賃金をみると、身体障害者は21万5千円、知的障害者は11万7千円、精神障害者は12万5千円、発達障害者は12万7千円と、障害によって賃金に差があることも今後の課題だといえるでしょう(厚生労働省)。

一般就労や障害者雇用はいずれも企業への就労となります。
そして、福祉的就労という働き方もあります。
福祉的就労は、障害者総合支援法の訓練給付を用いた働き方で、就労継続支援A型就労継続支援B型とがあります。
福祉的就労は、「支援者」が仕事のサポートを行うこと、利用している方はみなさん障害者であることが特徴です。
(障害者手帳は必須ではありませんが、多くの方が障害者手帳を取得しています)

就労継続支援A型は、労働基準法に基づいた労働契約を結んで働くことになるため、最低賃金が保障されていたり、残業や有休など一般就労と同じように労働者としての権利が守られた働き方となります。
障害者雇用に比べて、1日5時間~6時間など短時間労働になることが多いため、月給は障害者雇用よりも低くなる傾向にあります。

就労継続支援B型は、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、「働く」機会の提供や働くために必要な知識・能力の向上のための訓練を行うために利用する場所になります。
労働契約が結ばれないため、働くことによる収入は期待することができませんが、週1日、1日3時間からなど、その方の状態に合わせた働き方をすることができたり、働いているときに休憩などもしやすい環境が設けられています。

厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」によると
令和2年度の障害者就労の現状は
就労継続支援A型は7.2万人
就労継続支援B型は26.9万人


令和2年度の平均工賃(賃金)月額の実績は
就労継続支援A型は79,625円
就労継続支援B型は15,776円
になります。

これまでさまざまな働き方について説明をしてきましたが、働く前に、働くための訓練を受けたいというかたは就労移行支援事業所を利用することができたり、職業に関する能力を把握するために職業評価を利用したりすることもできたりします。
また、働くことについて相談する場所として、障害者就業・生活支援センターを活用することもできます。
いずれも障害者手帳がなくても、精神疾患や発達障害、知的障害等の「診断」があれば利用することができます。

また障害者の方が働くうえでその特性に合わせた配慮が行われるよう合理的配慮が、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)で義務付けられています。

「障害者のために」さまざまな働き方が提案され、利用する方々も増えていますが、今後、障害の有無に関係なく、働くことに困っている方全員が、それぞれに必要な配慮を受け、それぞれに合った働き方を選択することができる社会になればいいなと思っています。

浜内彩乃

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