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教員コラム

国語辞書を引いてみる1(小型辞書)

みなさんの家に国語辞書はありますか。私の家にもあります。私の家にいる辞書達は出版社や版がさまざまで、時折引き比べて遊んでいます。

たとえば「青」を引いてみると、こんな違いがあります。①だけ取り上げています。

  あを(名)靑 (一)七色ノ一、晴レタル日ノ空ノ如キ色。

(『言海』)

  あお【青】〈名〉①三原色の一つ。よく晴れた空のような色。

  (『三省堂新現代国語辞典 第四版』)

  あお【青】①三原色の一つ。秋晴れの空の色。

(『新明解国語辞典 第二版』)

  あお【青】①よく澄んだ空の色に代表される、赤に対する暗い(落ち着いた)感じを受ける色。[濃い「青」は三原色の一つ]

(『新明解国語辞典 第五版』)

 上記のように少しずつ説明のされ方が違ってくるのです。「あお」。自分だったらどのように説明しますか。身近だと意外と辞書で調べませんよね。私だったらこうやって説明する…と考えてみると、見慣れた日常も少し違って見えるかもしれません。

 ところで、みなさんは「マスク」を引いてみたことがありますか。私の持っている一番古い辞書『言海』(明治期辞書の復刻版)には立項されていません。『新明解国語辞典』(以下「新解」)はどうでしょう。

  ①仮面。面。〔広義では、顔だちを指す。例、「いい―をしている」〕②〔顔を危険から守るために〕野球の捕手や審判などがかぶる面。③〔かぜの病菌の吸入・放出を防ぐために〕鼻・口をおおうもの。(以下略) 

 とあります。今よく使っている「マスク」が一つ目ではなく三つ目にきていますね。ちなみに2、3456版でも上記のような説明でした。そういえば、日常で頻出はしませんが「アマイマスク」とか聞きますね。

『岩波国語辞典』(以下「岩波」)はどうでしょうか。

  ①顔をおおうもの。 ㋐ちり・病菌などを防ぐため、耳から掛けて鼻・口をおおう(ガーゼなどで作った)もの。 ㋑仮面。 ㋒防毒面。 ㋓野球の捕手やフェンシングをする人がかぶる防具。 ②かおだち。「ほりの深い―」(以下略)

 「岩波」は、4版も第7版新版も上記のような説明です。「顔をおおうもの」としてマスクが出てきています。「アマイマスク」は②かおだちとなりますかね。よく読み比べてみると「新解」と違いがありますね。

 「動物園」の話は有名ですが、他にも「恋愛」「食パン」「ゴキブリ」など身近な言葉を引き比べると面白いです。「——だが、うまい。」と写真を足せばSNSのコメントになりそうな説明もありますよ。探してみてください。

光華女子大学の図書館には「岩波」も「新解」ももちろんあります。版違いもあります。さらにいうなら、辞書は国語辞書が全てではありません。レポートやSNSなど、文章を書くときの術となる文章表現だって、辞書がありますよ。
今は事前予約をすれば利用できるそうなので、図書館へお立ち寄りの際は引き比べてみてください(^^)
https://www.koka.ac.jp/toshokan/archives/737