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こども教育の学び

「シアワセ」の歌

5月29日(火)の2限に、青野浩美さんをお招きして、学校教育コース4年生対象の「総合的な学習の指導法」の授業を行いました。

青野さんは、本学の健康科学部医療福祉学科(言語聴覚専攻)に在学中の方です。以前は他大学で「特別専修生」として声楽を学んでおられました。そんなある日、原因不明の病気で、身体が動かなくなってしまいます。

さらに、それから数か月後、無呼吸発作を起こすようになり、気管切開をするかどうかの決断を迫られます。声が出なくなるかもしれない。でも、気管切開をしないと命を落とすかもしれない状況になりました。

青野さんは、「スピーチカニューレ」という器具をつければ、気管切開をしても声が出るかもしれないということを知り、手術を決意されます。その時、お医者さんに、「じゃあ、歌は歌えるようになりますか?」と聞かれたそうです。すると、お医者さんは、「うーん、歌は難しいと思います。そんな前例、今までにないから…」と、おっしゃいました。

しかし、青野さんは、「前例がないなら、私が前例をつくろう」と考え、気管切開をされました。

なんと、この5月29日は、青野さんが10年前に気管切開をされた日だったのです。そのちょうど10年後、ご自分が大学に通い、また私たちの前でお話と歌を披露しているとは、誰が考えることができたでしょう。

お話を聴く途中で、青野さんは「オー・ソレ・ミオ」を歌われました。その歌声は、心に響き、胸を揺さぶりました。込みあげてくるものを抑えきれませんでした。

その後、坂田修さんの「シアワセ」という歌を取り上げ、私たちの何気ない日常にある幸せを学生と一緒に考える、というワークショップをしてくださいました。あたりまえのことができる幸せ。その幸せを感じること。

学生が考えた幸せを歌にのせ、みんなで一緒に歌いました。涙を流す学生。あたたかい空気が部屋全体に広がりました。人の力はなんて大きいのでしょうか。

青野さん、伴奏に来てくださった青野さんのお母様、そして妹さんとその子どもさん。本当にありがとうございました。

「シアワセ」になりました。