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教員コラム

わたしと図書館

読書には大きく分けると、内在的読書と外在的読書の2種類が存在します。内在的読書とは、間接体験を通して楽しむ読書を指します。一方、外在的読書とは、何か課題や問題を解決するために行う読書です。読書教育では、ある限られたジャンルに偏った読書ではなく、幅広いバランスのとれた読書が求められています。では、どのように内在的読書と外在的読書のバランスをとるのでしょう。

私の場合、内在的読書と外在的読書のバランスをとってくれた場所が図書館であったと思います。意識的に2種類の読書のバランスを取ろうとしたわけではありませんが、小学生時代から高校生時代までは内在的読書が中心に学校図書館を利用し、大学に入学してからは外在的読書を中心に大学図書館を利用していました。大学では、多くの課題が出され自らの考えを形成するために多くの文献を読み、根拠を求めました。特に大学院生時代には、ほぼ毎日大学図書館へ通っていたことを思い出します。

先に、内在的読書と外在的読書の違いを述べましたが、大学院生時代に2種類の読書の融合を感じるようになりました。それは、調べることを目的とした外在的読書において「筆者のものの見方・考え方」をとらえることができるようになったからです。

大学院生時代にご指導いただいた広島大学大学院教育学研究科,森田信義先生からいただいた次の言葉を今でも大切にしています。

「知識という狭い枠にとどまることなく,多角的なものの見方・考え方を磨きなさい。」

図書館で多くの本に出会い、「筆者は何故」という視点をもって読書をすることが自身のものの見方・考え方を拡充してくれたように感じています。わたしにとって図書館は、多忙な日々の中で、生き方をじっくりと考えさせてくれる場所なのです。

                 こども教育学科 谷本 寛文