京都光華女子大学 こども教育学部 こども教育学科 ニュース 理科演習(実験)の学生振り返りから

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理科演習(実験)の学生振り返りから

 理科演習(実験)のオンライン授業では、毎回授業の感想や質問を書いてもらっています。その中で、何人かの学生は、自然の写真を送ってくれました。どれも大変素晴らしいので、皆さんにご紹介します。

<写真1>
 今日の朝、家の窓を見ると、始めは窓に止まっているだけだったのに、いつの間にか脱皮をしていました。思わず写真をパシャリ撮ってしまいました。
 脱皮をする貴重な様子を見ることができました。母は、「これ、トンボ?」と言い、妹とどうなのか調べてみましたが、確かなではないので、もし分かるのであれば教えて頂きたいです! (Nさん)

(教員コメント)
 素晴らしい写真ですね。このような決定的な写真は、なかなか撮れるものではありません。
 これは、トビケラです。トビケラは、幼虫の時期を川底の石の表面で過ごし、春になると水面や川の石の上で羽化します。トビケラは羽化後、エサを食べることなく1週間から10日くらいで死んでしまいます。その間に飛びながら交尾し、川に卵を産みます。
 お家は、川のそばにあるのではないでしょうか。トビケラの幼虫が川面や石ではなく、家の窓まで這ってきて羽化するのは、大変珍しいことです。
 京都府南部にある宇治川には、トビケラが数種類生息しており、毎年4月~6月に大量発生して夕方に巨大な蚊柱を作ります。街灯や店の看板に真っ黒になるほど集まることがあり、お店の人を困らせますが、一方できれいな川にしか住めない種が多く、環境の指標生物にもなっています。カワゲラのすむ川はきれいな川といえます。

<写真2>
 毎年家に来るツバメの写真です。毎朝元気にチュンチュン鳴いています。今年も元気で可愛いヒナがかえってほしいです。(Kさん)

(教員コメント)
 とてもかわいいですね。ツバメは春になると、台湾やフィリピン、ボルネオ島など南の島から数千㎞もの距離を飛んで渡ってくる渡り鳥で、毎年同じ場所に巣をつくると言われています。日本では昔から、イネの害虫を食べる鳥として大切にされてきました。また、空き家には巣をつくらず、人の出入りが多い家に巣をつくることから、商売繁盛や安全な家の象徴とされてきました。きっと、にぎやかで楽しいお家なのでしょう。

<写真3>
 琵琶湖で雑草調べをしたときの写真の1枚です。琵琶湖付近にはたくさんの雑草が生えていて、タンポポのようにきれいな色をしたものも多かったです。花と雑草の違いは何なのか教えていただきたいです。(Kさん)

(教員コメント)
 琵琶湖の、広々としてすがすがしい湿地草原の様子が伝わってくる1枚です。琵琶湖は、道端、草原、湿地、沼地など、様々な環境があることから、大変多くの種類の植物が観察できる場所です。
 理科演習の授業では、春の雑草調べを在宅で行ってもらいました。その時の写真ですね。どの雑草にしようか、ワクワクしてしまいますね。
 花と雑草の違いは、目的をもって植えたか、自然に生えてきたかの違いです。雑草の中にも、よく見ると驚くほど美しい花を咲かせるものが、たくさんあります。このことを発見できたなんて、素晴らしいです!ただ草が生えている何気ない場所でも、注意してみると楽しい発見がたくさんあります。

<写真4>
虫探しに行ったときの写真です。
絵葉書のような写真が撮れました。
この日は伊吹山が雲で隠れていました。
滋賀には自然がいっぱいです。(Kさん)

 (教員コメント)
 本当に素晴らしく美しい写真ですね。壁紙にしたいくらいです。理科演習の授業では、虫探しも在宅で行ってもらいました。その時の1枚ですね。
 手前に写るキショウブは、ヨーロッパ原産の植物で、明治期に栽培目的で植えられたものが、現在では全国の湖や川に繁殖していて、環境省の「要注意外来生物」に指定されています。とはいえ、大輪で美しい花です。
 かなたに見える伊吹山は、標高1300mを超える滋賀県の最高峰ですね。元は南のサンゴ礁の島だったものが、海のプレートに乗って日本にやってきて、今の伊吹山になりました。全体がサンゴ礁の化石、つまり石灰岩でできていて、土がアルカリ性で石灰質のため、変わった植物がたくさん生えており、薬草の山としても有名です。

 理科演習は、実験を中心に科学のしくみや自然現象を学ぶ授業です。授業での学びをきっかけにして、みなさんが自然に親しみ、知見を深めているようすを知ることができ、毎回大変うれしく思います。

(学校教育コース 中井咲織)

<写真1> 窓での脱皮 決定的瞬間!(クリックで拡大)

<写真2> 今年も巣をつくったツバメ

<写真3> 雑草観察時の初夏の琵琶湖(クリックで拡大)

<写真4> 琵琶湖(内湖)から望む伊吹山