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ベルの物語

ベル、ピアノで遊ぶ (その2)

ベルは、はじめて ピアノの部屋に やってきました。

ピアノの部屋は、大学の6号館というところにあります。

そこには 大きなピアノが おいてありました。

そのピアノは、ベルが知っているものより ずっと大きくて、つやつやしていました。

 

ベルは、ピアノの前の椅子に 勢いよく 腰かけました。

音楽の先生も、となりの椅子に 座ると、「ベルちゃん、ビアノを弾く時は、背すじは ぴっ。それから 椅子の前のほうに 座ってね」と教えてくれました。

 

そして今、ベルの前には 白と黒の鍵盤(けんばん)が ずらっと 並んでいます。

えいっ。

ベルは、思いっきり ピアノを たたきました。

ぴしゃぁーん。

ベルは、思わず 目を 閉じました。

水のしぶきが 飛んできた、と思ったからです。

でも、目を開けると、顔は ちっとも 濡れていませんでした。

となりに座っている 音楽の先生も、にこにこしながら ベルの様子を 見ています。

 

あれれ、おかしいなあ。

ベルは、今度は そうっと ピアノを たたいてみました。

ぱしゃっ、ぱしゃっ。

水しぶきのように 感じたのは、ピアノの音でした。

ひゃあ、面白い!

ここは、どんな音が するのかな?

じゃあ、次は この黒いところだけ さわってみよう。

ベルは、夢中になって ピアノを あちこち たたいてみました。

そのたびに、ベルめがけて いろんな音が 飛んできました。

 

ベルがまた、思いっきり ピアノを たたいた時のことです。

ベルのとなりで、低い音が しました。

えっ? 何?

ベルは もう一度、ピアノを たたきました。

すると、今度は 低くて短い音が 返ってきました。

 

音楽の先生が ベルと一緒に ピアノを 弾きはじめたのです。

ベルが 弾くと、先生が 弾く。

先生が 弾くと、ベルも 弾く。

夢中になって遊ぶベルを 先生のピアノは、いつもやさしく 見守ってくれました。

 

「もっと やる! ずぅーっと やる!」

すっかり ピアノが 大好きになったベルでしたが、楽しい時間にも かならず 終わりがあります。

先生は、コモンズまで 一緒に 帰ってくれることになりました。

(続く)

ベルちゃんと田中先生の連弾です。
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