京都光華女子大学 こども教育学部 こども教育学科 ニュース ゼミ紹介:卒業研究の取り組み(布の絵本)を例に

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ゼミ紹介:卒業研究の取り組み(布の絵本)を例に

ゼミというのは、3年生の後期以降行われる、ゼミ生とゼミ担任による演習です。テーマに添った調べものをして、発表し、感想や質問を出しあい、わかったことや課題点を整理していく作業を協同で行います。4年生になると、いよいよ各自の卒研テーマを絞り、研究をすすめ、後期の終わりには仕上げます。

 

4年生Iさんは「布の絵本」をテーマに選びました。もともと布製の手作りおもちゃに興味のあったIさんですが、資料探しをするべき4,5月は緊急事態宣言下で、図書館が自由に使えませんでした。ゼミ担任の手元にある資料をもとに、関連する資料をネット上で探すうちに、「布の絵本」というものの存在を知ります。布の絵本は、札幌市で児童文庫活動をしていた小林静江さんという人が、重度障害のある子どもたちのために1976年考案し、その後、活動を続け普及したものです。Iさんはその歩みを、札幌の地方新聞記事などから整理し、自身でも布の絵本「だれのうち?」を制作しました。23cm四方のフエルト成で、ページをめくるたびにファスナー、ボタンの仕掛けのあるおうちから動物やお人形が出て、お話を作りながら遊べます。

 調べたこと、実際に布の絵本を作って使ってみたことを合わせて、卒業研究としてまとめるのですが、ゼミで討議を重ね、布の絵本の特徴を考えあった際に、「文字が無い」という意見が出ました。子どもはおもちゃとして遊ぶ中で、イメージを膨らませ自由にお話作りをします。そばにいる親や保育者がその言葉を聴き上げ、お話を一緒に語っていくもので、書かれた言葉はないけれども、これはたしかに絵本としての位置づけられるものだと話しあいました。布の絵本の考案者の小林静江さんの思いがぐっと身近に感じられた瞬間でもありました。

卒業研究というのは忍耐の要る孤独な研究のようにとらえられますが、こうして相互に意見しあいながら自分の考えをまとめていくことがゼミの醍醐味であります。

先日、4年生、3年生合同ゼミで、4年生の卒業研究発表会を行いました。3年生は、

「工夫して作っていらっしゃったのが、時間も労力も必要だっただろうなと深く感心しました。その努力が形として残るのが凄く良いなと思いました」

「先輩方の発表を聞いて、様々な研究の在り方や方法について知ることができました」

「卒研したいと思うことはとても身近なところにあると感じました」

との感想をあげてくれました。

ゼミでの取り組みは、保育・教育・子ども・文化、についての知見を相互に高めあうことのできる機会となるのでしょう。

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