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教員コラム

自然から学ぶ

先日、著名な霊長類学者(京都大学名誉教授)の河合雅雄先生が亡くなった。河合先生は、霊長類の研究で、群れて遊びながら子ザルが社会性を身につけていくことから「群れる」ことの大切さやご自分の幼少期の経験から現代の子どもに自然と向き合うことの大切さを訴えてこられた。

私が広島大学附属幼稚園の園長をしていた頃、自然と一体化した幼稚園づくりをめざし、幼稚園の先生方と一緒になって「森の幼稚園」構想を打ち上げた。この森の幼稚園構想に「魂」を入れてもらおうと、幼稚園の先生2、3人と一緒に、兵庫県丹波篠山市にある河合先生のご自宅に講演依頼に伺ったことがある。先生のご快諾を得て、後日、森の幼稚園の発足に当たって貴重な講演を聴くことができた。学校教育法でも、社会体験や自然体験の重要性が指摘されており、現代の子どもたちが自然と向き合うことは色んな意味で重要であると改めて思う。私たちは、自然と向き合う中で、自然の不可思議さ、美しさ、怖さのみならず、探求心や情操面の発達、自然との向き合い方など、多くのことを学ぶ。自然は学びの宝庫である。願わくば、幼児期、少年期の子どもたちの原風景が豊かな自然であってほしいと思う。

河合雅雄先生の訃報に接し、自然と触れ合うことの重要性を改めて思い起こした次第である。

自然から学ぶ森の幼稚園(写真:筆者撮影)