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こども教育の学び

読解と思考の技法の授業風景:俳句

京都光華女子大学リベラルアーツ科目読解と思考の技法の授業風景(俳句の授業)を紹介します。

俳句とは、五・七・五の十七音からなる日本の伝統的な定型詩です。高度情報化社会において、4Kテレビから8Kテレビの時代に移り、私たちが目にするリアルを超えた映像を見ることができる時代になっています。また、インターネットの普及と発展により自分が必要とする情報を瞬時に得ることも可能です。

このような時代において、学生に日本の伝統文化である俳句の存在意義や価値について、改めて考えてもらいたいと考えています。

俳句は、17音という厳選された言葉とそのならびから映像を思い浮かべ、時代を超えてその情景や作者の思いなどを受け止めることができます。自分の頭の中にあるスクリーンに映像を思い浮かべることは、まさに想像力を豊かにし豊かな感性を磨くと共に、さらには、自らの創造力を拡充することに繋がるのです。

今回の講義では、石田破郷(いしだ はきょう)の「雀らも 海かけて飛べ 吹き流し」という句を教材にして、学生が想像することの楽しさや俳句の奥深さを実感してくれることを目的に講義を展開しました。

講義を進めるにあたって工夫したことを以下に紹介します。

 1.個人思考:俳句をよんでこれまでの学習経験や既有知識をもとに、まずは、自分で気づいたことや感じたことをまとめる。

 2.個人思考・判断・表現:俳句から想像することのできる情景を絵に表現する。

 3.他者と考えの共有:表現した絵を他者と交流し、説明する。

 4.知的好奇心:どの言葉から何を想像することができるのかという問いの設定。

 5.新たな発見と感動・深い学び:全体交流を通して、自分の中にあるモヤモヤを「なるほど」とすっきりさせる「なるほど体験」


学生の学びの様子について紹介します。写真も合わせてご覧ください。

 

【全体交流での「なるほど体験」】

・「雀らも」→「も」だから複数

・季語は、「吹き流し」→初夏

・雀が飛ぶ(飛ぼうとしている)方向は→陸から海に向けて

・海風・陸風→昼間は、海から陸に向けて風が吹く。夜は、陸から海に向けて風が吹く。

・景色が見えているということは、昼間。

・つまり、雀らが飛ぶのは「向かい風」

・「吹き流し、雀ら」から想像できるのは、こどもたちかもしれない。

・向かい風だから、困難に負けないで力強く進め、というエールかもしれない。

 

【学生の感想】

今回、俳句を読み、そこから場面や情景を想像し、絵を描いたことで、情景をより深くイメージすることが出来ました。俳句はとても短い文ですが、そこからとても素敵な情景や場面がわかると気づき、俳句は素晴らしいなと感じました。また、情景や場面だけでなく、作者の強いメッセージも伝わり、さらに俳句は深いものだなと感じることができました。ありがとうございました。

たった17音の中に色々な情景や場面が描かれている俳句は奥が深いなと感じました。一見、なぜこの言葉が使われているのか、と思う言葉でも、意味や伝えたメッセージを考えた時に、納得させられるので、深く考えて句を詠む人の感性や想像力などに心を動かされました。そして、読み手によって解釈が異なるので、こんな読み取り方もあるのか、とハッとさせられました。色んな人の意見や考えを知ることは、自分の世界を広げてくれると感じました。

今回の授業で俳句の読み方、感じ方を改めることができました。中学高校生のころは、難しい表現が使われていて、テストのためだけに覚えるようにして取り組んでいました。しかしそれでは俳人の意図がうまく受け取れず、俳句本来の良さが何も理解できていないと思いました。また、言葉に着目し、疑問として意味を調べることから、さらに、深く読み何を表しているかなど、その言葉を通して何を伝えたいかという疑問を持てるようになりたいと思いました。

この俳句を読んだ時、雀たちが防波堤に居て、吹き流しが海に向いているのだと思い、そこから、吹き流しのように海に向かって飛べということではないかなと私は考えました。ですが、全体交流の場でいろいろな謎がとけていき、とても深いなと感じました。また、深く読むためには知識がないといけないということも実感しました。

はじめに読んで、どういう状況かを考えた時には飛んでいる方向もふきながしが何なのかもわからなかったけれど、言葉の意味や自然の仕組みがわかると雀が飛んでいる姿が詳しくイメージできて、向かい風に立ち向かう姿から困難にも立ち向かって進んでいけというメッセージがあることも実感することができました。

今日の授業では、俳句を楽しむ、読むポイントを学んでから俳句を読みました。俳句は短い文章だからこそ、何度も読み返すことができるので、言葉ひとつひとつに作者が込めた思いを知ることができると思いました。俳句は、季語を通して季節や時間、様子などを知ることができると改めて感じました。俳句を読んで、様子を絵に描いた時に、俳句を読んだ時とは違う疑問を感じました。吹き流しが何か、雀ってどんなだったか、雀はどこにいるのかなど複数の疑問を感じました。様子を絵にするためには、たくさんのことを知っておかないと描くことができないと思いました。俳句を深く読んで情景を想像することができて俳句を楽しめたのでよかったです。

俳句から気づいたことを絵にする過程

絵の説明・交流の場面