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こども教育の学び

〈えかきうたで描いてみよう〉

 えかきうたは、歌に合わせて絵を描いて遊ぶものです。歌詞のとおりに筆を進めていくと、予想外の形になり、楽しめます。「たてたて よこよこ まるかいてちょん」「ぼうがいっぽん あったとさ」など、どこかで聞いて、描いたことがあるのではないでしょうか。

 1960年代に、小泉文夫さんという音楽学者が東京の子どもたちが歌う遊び歌を蒐集し、日本で暮らす子どもが基層にもつ音階組織を明らかにしました。小泉さんはえかきうたを、わらべうたの分類「1」に位置付け、わらべうた遊びの1つのジャンルとしました。

 私の恩師は、小泉文夫さんに師事した人でしたが、1990年ごろ、和歌山のわらべうたを蒐集し、「子どもたちが遊ぶわらべうたはテンポアップをしてきているが、えかきうたはゆっくり歌われている」ことと、「えかきうたは都市部の子どもたちがよくしている遊びである」ことをまとめました。筆を進めながらゆっくり歌われること、路地端で遊ぶ子どもたちの群れが少ない時代となっても、ちょっとした隙間時間に紙と鉛筆を使ってえかきうた遊びがなされていることがわかります。

 そして現在。授業でえかきうた大会をすると、一フレーズ歌っては一筆、次のフレーズを歌ってはもう一筆、と、えかきうたに載せて、アンパンマンやドラえもんを始め、うさぎ、くま、かめ、ねこ…、といろいろな動物が表れました。語りかけるように歌って筆を進める学生の姿を見て、ぜひ子どもたちにこの文化を伝える人になってほしいと願ったのでした。

えかきうた大会で一人ずつ歌って描きました