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こども教育の学び

絵本『ぐりとぐら』に寄せて

4年生Kさんは、『ぐりとぐら』(なかがわ りえこ 作 おおむら ゆりこ 絵 福音館書店)シリーズの絵本の魅力を探ることをテーマに、卒業研究をしました。『ぐりとぐら』は60年前に出版された絵本です。当時保育士であった中川李枝子さんがお話を作り、大学生であった妹、大村(のち山脇)百合子さんが絵を描いた、双子ののねずみのお話です。教訓的なお話が多かった児童文学界に新しい息吹を送り込み、日本における絵本の萌芽期を創り出した重要な作品の一つで、多くの子ども、その家族、幼稚園、保育園で親しまれてきました。Kさんは、この絵本のもとになった『たまご』という雑誌記事との比較を行い、絵本化する際に、作者らがたくさんの工夫をしたことを明らかにしました。続くシリーズにおいても、ぐりとぐらの森の中での冒険が描かれ、森の仲間と手作りの食事を共にする場面があり、ぐりとぐらが身に着けている洋服がかわいく、読者を魅了してきたことが察せられます。

1年間にわたる卒業研究取り組みの中で、絵の作者大村(山脇)百合子さんが亡くなられ、また、『ぐりとぐら』を世に出した福音館書店の松居直さんが亡くなられる、という知らせもありました。

Kさんは

ご逝去を惜しむとともに、その功績に心から感謝をしたい。『ぐりとぐら』はこれから先も色あせることなく、時代を越えて読まれ続けていくに違いない。なぜなら子どもが大好きなものがこの絵本には沢山詰まっていて、子どもがワクワクするものは時代が変わっても、同じだと思うからである。

と原稿を締めくくり、普遍的な魅力があることを提示しました。ゼミ仲間とともに、『ぐりとぐら』の世界を味わった一年でした。

『ぐりとぐら』シリーズを楽しみました