京都光華女子大学 人間健康学群 ニュース 健康長寿とPPK(ピンピンコロリ)

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教育研究③:健康生活

健康長寿とPPK(ピンピンコロリ)

人間健康学群のブログ記事のとおり、厚生労働省の2019年の調査では、健康寿命と平均寿命は以下のデータとなっています。健康寿命は、認知症、寝たきりなどで日常生活が制限されずに生活できる期間を意味します。

男性:平均寿命81.4歳、健康寿命72.7歳、差8.7歳
女性:平均寿命 87.5歳、健康寿命 75.4歳、差12.1歳

日本は、平均寿命、健康寿命のいずれも世界一位です。しかし一方で、両寿命の差が世界で33位と低い順位(差が小さいほど高い順位)です。この差の期間は、認知症や寝たきり等の生活を送ることになり、個人、家族、医療・介護機関、行政、社会にとって闘病や看護・介護等の負担が長期的に蓄積されます。

最近、図書『PPKのすすめ 元気に息抜き、病まずに死ぬ』(水野肇・青山英康著、1998年、紀伊国屋書店)を読みました。PPKは「ピンピンコロリ」の略語で、病気に苦しまずに元気に長生きしてコロリと死ぬことを意味します。つまり、寿命、健康寿命ともに長く、両寿命の差が小さいことを意味し、「健康長寿」そのものとなります。一方、NNKは「ネンネンコロリ」の略語で、長期間にわたり寝たきりになって亡くなることを意味します。つまり、寿命が長く、寿命の健康寿命の差が大きいことを示します。私を含めて、ほとんどの人がPPKや健康長寿を望むと思います。

この図書によれば、1990年度のデータに基づくと、長野県がPPK日本一の都道府県で、以下のような取組がその要因と分析されています。ただし、この著書は古いデータに基づき、近年の各都道府県の動向も検証を要すると思います。

高い就業率:高齢者も農作業にいそしむ
保健活動の充実
在宅医療の充実:持ち家比率が高い、単独世帯が少ない、離婚率が低い
食生活改善推進
福祉サービスの推進
自然的条件:山道をこまめに歩く

私は特に、高い就業率に着目しています。民間企業等を60歳から65歳で退職後、多くの高齢者は継続して就労可能で健康良好と思います。人間健康学群のブログ記事のとおり、生きがい就労の位置づけで定年退職後も何らかのかたちで働くことが、高齢者の健康長寿にとって、また家族や社会にとっても重要と思います。

人間健康学群では、健康長寿社会を目指して、多様な人の健康増進に貢献できる教育研究を行っています。2023年12月3日(日)もオープンキャンパスがあります。オープンキャンパス等で本学にぜひご来訪頂いて、人間健康学群の教育研究に触れてみてください!

文責:酒井浩二

「生きがい就労」は健康長寿の一形態?