京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 ニュース 日本と台湾の居住文化に関する研究を行っています

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日本と台湾の居住文化に関する研究を行っています

こんにちは。
ライフデザイン学科でインテリア分野の科目を担当しているです。

私は昨年4月に着任しましたが、その前は台湾の中原大学インテリアデザイン学科の助教授として「住居学・文資保存研究室」(文資:文化資産、文化財)6人のゼミ生とともに研究をしていました。私の研究室に入ってきたゼミ生の皆は、日本の文化に興味を持つ学生です。ゼミ生の修士論文の研究テーマも勿論、日本と台湾の文化との関わりが深いものばかりです。台湾を離れ日本の京都光華女子短大に来た今でも、オンラインで台湾のゼミ生6人に修士論文の指導を行っています。

台湾の学生と一緒に研究をしている内容の中から、今日は「和室」について少し取り上げてお話をします。「和室」とは、日本の伝統的な家屋に特有の、畳を敷き詰めた空間です。日本にとっては珍しいものではないのですが、台湾では、元々「和室」という言葉がなく、畳を敷いた空間もありませんでした。しかし、台湾の日本統治時代(1895年~1945)の後半期に「和室」が台湾の伝統住宅に急速に浸透し、更に終戦後も幅広く定着してきました。現代の住宅でも室内で上足に履き替える習慣や、「和室」をひと部屋間取りに組み込むような空間設計の流行が知られています。日本による台湾の植民地統治は半世紀にも及んだため、台湾人の生活は様々な日本の文化に影響を受けました。台湾の伝統的な住宅や建築にも日本の要素が取り込まれるようになり、中でも最も代表的なものが、この「和室」なのです。

当時は、日本家屋の要素が流行して台湾の居住様式に浸透しました。しかし、台湾は日本家屋を真似しながら、居住者自身の生活習慣に合わせて、当時の流行や実用性の高い要素を多く取り入れたことによって、台湾の独特な「和室」の容貌が形成されました。こうした、異文化の影響下で、台湾が日本の文化と自らの居住文化とを融合して、生み出した新たな居住様式というのはとても興味深いものです。

コロナの影響で、オンライン対応や資料作りなどの授業準備が大変ではありますが、これからも僅かな時間を見つけて、このように日本と台湾の繋がりのある研究をし続けて行きたいと思います。

     台湾現代住宅の「和室」(1990年代)