京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 ニュース ChatGPTの授業(前編)-クローズアップされるAIとのコミュニケーション能力―

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ChatGPTの授業(前編)-クローズアップされるAIとのコミュニケーション能力―

ライフデザイン学科教員の相場です。

 

私は複数の教員と一緒に「社会を知る」という1年生必修科目を担当しています。その中の1回としてChatGPTを取り上げたので、その内容を簡単に紹介します。

 

まず、ChatGPTについて簡単に紹介した後、ChatGPTにできることを実感するために早速実習です。ChatGPTは、プロンプトChatGPTに入力するテキストのこと)を通して会話をしながら使っていきますが、ネットにはたくさんのプロンプトの好例があります。それらを参考にしながら、授業で取り上げたいくつかの例です。

 

(1)歴史の先生になりきる:ChatGPTに歴史の先生になってもらい、歴史上の人物についてユーモアのある解説をしてもらう

⇒例えば紫式部と藤原道長を取り上げると・・・紫式部は平安時代の「ゴシップ女王」で現代の著名人に例えるとJ.K.ローリングらしいです。また、藤原道長は平安時代の「自己満足キング」で、現代の著名人に例えるとスティーブ・ジョブズだということです。

 

(2)坂本龍馬になりきる:ChatGPTに坂本龍馬になってもらい、現代の諸問題に対するコメントをもらう

⇒たとえば「尖閣諸島の問題を解決するには、対話、協力、国際的な連携が欠かせんということぜよ」というお言葉が返ってきました。

 

(3)漫才師になりきる:関西の著名な漫才師になってもらい、漫才の歴史を漫才のネタとして話してもらう

⇒漫才のルーツは平安時代の「万歳(まんざい)」にあるという話や漫才に「ボケ」と「ツッコミ」という役割分担を持ち込んだのは昭和初期の「エンタツ・アチャコ」という伝説のコンビだといううんちく話には「ほー」となりましたが、漫才としてはそれほど笑えなかった(?)ようです。

 

もう少しクリエイティブな(?)使い方として・・・

(4)妖怪のネーミング:遅刻ばかりする妖怪の名前を考えてもらう

⇒提案の1つに「遅到鬼(ちとうき)」がありました。「よし!次に遅刻した人は『遅到鬼』と呼ぼう」と提案したところ、学生の皆さんからは失笑が返ってきました・・・。

 

これらの実習でChatGPTのポテンシャルの高さを実感してもらった後、ChatGPTのしくみ、特徴、利用上の注意点を解説しました。ポイントの1つ目は、「AIに、ネットに存在する膨大なテキストをもとに、次の単語を予測する学習をさせたところ、単語の予測だけでなく、言語に関することならば何でもできるようになってしまった、それがChatGPT」だということです。どうして次の単語の予測問題という限定的な問題を解かせただけで、このような汎用的な能力を獲得できるのは、まだよくわかっていません。科学や技術は理路整然と進むとイメージしていた学生の皆さんには少なからず衝撃を与えたようです。

 

2つ目は、それまでは、AIを実際に活用するにはプログラミング(例えばファインチューニング)のスキルが必要だと考えられていましたが、私たちの前に突如あらわれたAIであるChatGPTでは決してそんなことはなく、活用するにはプロンプトだけでOKで、理系よりむしろ文系的素養が必要とされるということです。具体的課題に合わせてプロンプトを工夫することこそが重要であり、それはまさにAIとのコミュニケーション能力に他なりません。

 

そのようなプロンプトの工夫の好例として、有名な「AI家庭教師プロンプト」を紹介しました。

 

https://note.com/ume_nanminchamp/n/n3441c431aea3

 

これは「うめ」さんという著名な漫画家が作成されたものです。子供に代わり、ChatGPTが読書感想文を書くというのは容易でしょう。しかし、このプロンプトはそのようなことはせず、ChatGPTが子供に寄り添いながら、自力で読書感想文を書くことを助けてくれるというものです。(上のURLには読書感想文以外に作文を手伝ってくれるプロンプトも紹介されています)

 

これは今までなら考えられなかったことです。また、これは子供だけではなく、学生も対象になりえます。レポート作成能力を鍛えてくれる家庭教師を手に入れる可能性があるのです。

 

さて、授業の最後には、ChatGPTの登場に関連して1つの問題を考えてもらいました・・・と、ここまできて字数が尽きたようです。この問題については次回ブログで紹介します。