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2024.12.01 授業活動京の伝統文化を創るフィールドワーク ~帷子の辻と太秦
ライフデザイン学科教員の久世です。
本学科の選択科目「京の伝統文化を創る」で、私は京都の町の成立や歴史についてのパートを担当しています。先日は受講生の皆さんと、京都市右京区の帷子ノ辻・太秦周辺を実際に歩き、町に残る歴史を探しました。
まずは嵐電帷子ノ辻駅前からスタートしました。江戸時代に書かれた『桃山人夜話』という書物に、次のような話が掲載されています。類まれな美人であった檀林皇后が、自らの死後、遺体をこの帷子ノ辻に野晒しにすることで身の儚さや恋の執着の甲斐のなさを示したという。その後もこのような話の舞台として、現在の帷子ノ辻周辺が選ばれたというのは、ここが葬送の地であった化野へ向かう道の入り口だったことが関係しているようです。なお帷子とは夏に着るひとえの着物ですが、ここでは死者に着せる白い着物ー経帷子のことでしょう。
ここから歩いてすぐの住宅街の中に、蛇塚古墳という古墳があります。ここは7世紀ごろ築造された古墳で、石室が露出しています。今回は、石室の中に入れていただき見学をしました。京都府下最大規模で、巨石を組み上げた石室内からは、高い土木技術を感じました。
そこから大映通商店街で美味しいコロッケなどを買い食いしつつ、広隆寺・大酒神社・木嶋坐天照御魂(蚕ノ社)へ。こちらで渡来人である秦氏の痕跡を見て、平安京以前の京都に想いを馳せました。
大酒神社には秦氏の祖である秦の始皇帝が祀られており、飛鳥・奈良時代の日本と中国の繋がりや、秦氏が京都の町づくりに関して大きな役割を果たしていたことを感じます。蚕ノ社では有名な三鳥居も見学して来ました。また太秦という地名も、この秦氏に因んでいる事などを知り、何気なく目にしていた地名にも、その土地が歩んできた歴史が隠されていることを実感しました。
こうしたフィールドワークから、歴史を知って町を歩くことの面白さ、新しいことを知る喜びを感じてほしいと思って実施しています。皆さんも、普段目にしている地名の意味や場所の歴史を調べてみると、意外なことがわかってくるかもしれません。