ニュース
2025.01.30 産官学連携京都の伝統産業との地域連携-持続可能な未来を拓くための伝統産業とものづくり教育
住居・インテリア分野の授業を担当しております、郭 雅雯(クォ ヤウェン)です。
必修科目「ライフデザイン特論」の授業で、京都の伝統産業と地域連携をし、SDGsの持続可能なインテリアの建材を考えるというテーマで進めています。
京都の伝統産業である西陣織や京友禅、京仏壇、京石工芸品などは国内外でも注目度は高いです。しかし、需要の減少や職人の高齢化、後継者不足などでその存続・継承が危ぶまれる状況が続いています。京都の伝統産業の一つである「京瓦」も、瓦の需要が減少し、瓦を作る会社が減り、職人の減少という状況に直面しています。現在、京都の伝統産業継承に取り組んでおり、「京瓦」を現役で唯一作り続けている株式会社京瓦、浅田製瓦工場(明治44年創業)と連携して、新たな取り組みを実行しています。
近年、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標としてSDGsが積極的に取り組まれています。建築やインテリアの建材は取り壊されると巨大なゴミとなってしまい、SDGsの観点からみると大きな問題となっています。既存の材料を再利用し、自然と調和・共存していく持続可能な暮らしを目指すには、どのようにすれば良いのかを考え、京都の伝統産業の技術や知識を活用して、既存材料を利活用するものづくりの教育を行っています。今回は「京瓦」を生産・制作している京都の伝統産業と連携し、普段、建物の屋根に使う「瓦」を利活用しインテリアの建材として室内空間に持ち込み、新たなインテリアの装飾材を考えます。具体的な事例として、短期大学部のライフデザイン特論の授業で、学生が「京瓦」をデザイン・考案をし、浅田製瓦工場で制作を行い、さらに室内空間の壁装飾材として提案を試みました。
瓦は防火、耐候、断熱などの色々な特性を持ち、建材材料としてとても優れていることが知られています。土からできたものなので、インテリアの建材としても自然な材料であり、消臭効果や調湿効果もあるため、室内空間で大きな役割を果たします。インテリアデザインにとっては新たなアイディアになるし、違う分野とコラボして新たな取り組みをすることで、今まで伝統産業を知らなかった若い世代にも魅力が届き、伝統産業の衰退の改善にも役立つと考えられます。