大学院の学外見学で京都市学校歴史博物館に行きました。この博物館は旧開智小学校の校舎をそのまま利用したもので、写真のような素敵な門から始まります。舎内には、学校で実際に使われた教材や教具が展示され、子どもたちの頑張っている息づかいが今にもきこえてきそうです。また、卒業生たちが寄贈した様々な美術工芸品も飾られ、後輩たちによりよい教育環境を提供したいという強い思いも伝わってきます。

京都は明治２年、全国に先駆けて学区制の小学校を創設しました。京都人が教育に情熱を傾けた背景には、歴史が大きく関わっています。つまり、明治維新で天皇が東京に移られたため、長年都として栄えた京都はその威光を失うことになりました。その際、京都の人々は、繁栄を途絶えさせないためには人材を育てることが肝要と考え、市民教育に力を注いだのです。そのおかげで、今では多くの学生が学ぶ地となり、また多くの大学が単位互換性を採用するなど学問的交流も盛んです。このように京都には、「人を受け入れ育てる」という精神風土があり、それが人を京都に惹きつける魅力となっているのかもしれません。

川西　千弘　（2012年7月21日）