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教員コラム

お堀のフグ

しまなみ海道をわたり、今治に行ってきました。昨秋から数えて3回目です。「今治」と聞けば、ゆるキャラの「バリーさん」や名物の「今治やきとり」を思いうかべる方も多いと思います。やきとりだけでなく「せんざんき」という鶏料理も美味しいことがわかりました。今、家にはバリーさんグッズがあふれています。

今治は、美しく心癒やされる街です。多くの島影が浮かぶ瀬戸内海、海と空の穏やかな色合い、今治と大島を鮮やかに結ぶ来島海峡大橋、いつまで見ていても飽きることのない情景です。そして忘れられないのが、今治城です。瀬戸内海のすぐそばにそびえ立ち、天守閣はもとより、お堀の外まで綺麗に手入れされています。

お堀のそばに立っていると、魚影が見えます。お堀の魚と言えばやはり鯉でしょうか。大小様々にたくさん見える魚たちは、鯉ではなさそうです。黒鯛、サヨリのような形をしています。今治城のお堀の水は、海水だそうです。なるほど納得です。群れをなしている小さな魚は何でしょう?目を凝らしてみると、「フグ」です。小さく透けるような背びれを精一杯動かして、みんな懸命に泳いでいます。

フグたちに会いたくて、今治に行きました。雨が降っていました。傘をさしてお堀に行くと、いません。フグが1匹もいないのです。どうしたのでしょう、心配になってきました。茫然と佇んでいると、フグたちが寄ってきました。どうやら傘の影に驚いて逃げていたようです。たくさんいます。背びれを動かしている姿はそのままに、まるまると大きく育っていました。心和む姿に「もっと大きくなるんだよ」と声をかけて、お堀を去りました。

竹西 正典(2017年6月6日)