◆恋の“吊り橋効果”

恋心はどこからくるのでしょうか？
カナダの心理学者ダットンとアロンは、2つの橋を使って次のような興味深い実験をしました。

ひとつの橋は、急流の上にかかった、幅が狭く、歩くと大きく揺れる吊り橋。もうひとつはこの川にかかった幅が広く頑丈な橋（固定橋）。それぞれの橋を一人で渡ってきた男性に、美しい女性実験者が「美しい景観が創造性に及ぼす影響を研究しているので、協力してください。」と声をかけました。そして、「結果を知りたければ、電話をしてください」と電話番号が書かれた紙を渡しました。

実験の結果、固定橋の場合は電話番号を受け取った16名のうち実際に電話してきた人数は2名（13%）でしたが、吊り橋の場合には18名中9名（50%）が電話をかけてきました。

この結果は、吊り橋を渡ってきた男性は、怖くて心拍数が増加した状態で、そうしたときに美しい女性から声をかけられたので、そのドキドキを女性に対する恋心による胸の高鳴りだと捉えてしまったからだと解釈されています。

吊り橋実験は「情動の2要因理論」（情動は「身体の生理的変化」と「それをどう捉えるか」という2つの要因に影響を受ける）を検討したものです。

引用文献
久能徹・松本桂樹（監）（2000）．図解雑学　心理学入門　ナツメ社　pp.82-83.


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