京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 「からだの声に耳を澄ます時間」その1

ニュース

教員コラム

「からだの声に耳を澄ます時間」その1


 自宅の壁には「思った通りにはならないがやった通りにはなる」という格言が貼ってあります。もともと手数を惜しんで怠惰に流れがちな自分自身に喝を入れるためなのですが、今回授業形態を様々に実験する上で、この言葉はとても力になりました。コロナ禍の中、大学では遠隔授業が主流となり、これまで以上に授業全体の計画の早めの提示や、細々とした方法の工夫が必要となりました。従来、私は受講生の顔や表情を見たり、ディスカッションをして状況を確かめたりして、次の授業に生かすようなやり方をしてきました。ところが今年度は大きな方向転換が必要となり、そのつど実験が必要になりました。

 授業でははじめてZoomシステムを取り入れました。リアルタイムのオンライン授業にあたって、受講生の負荷を減らすため、必要のない時はカメラやマイクをオフにして受講するよう指示します。ところが、当初、私は受講生の表情や頷きなどの反応が見えないので、虚空に向かって話しているようでとても疲れました。ラジオのディスクジョッキーを担当しているパーソナリティはこういう気分なのかなと思いました。ただし、ラジオ番組であれば、あらかじめ届いたお便りやメールがあり、見えなくても相手の反応を想像することができると思われます。私もこれにならって、授業資料をかなり前に掲示しておき、実際の授業前に質問メールを送ってもらうという形も試みましたが、残念ながら受講者の質問はごくわずかでした。

 また、システムの中にある、聞き手の「反応」としての「いいね」と「手を挙げる」という二つの機能も使ってみました。全く反応がないよりはマシでしたが、受講生の反応を軽く扱うような感覚が気になりました。

 次に、受講生には学生証番号とフルネームで氏名を登録するように伝え、質問や感想を「チャット」に書き込んでもらい、なるべく受講生の「リアル(今)」を生かす形を試みました。この「つぶやき」レベルの感想や疑問は授業に生かせるようなちょっとしたヒントがたくさんありました。このチャットの手ごたえは講義の楽しみになってきました


(心理学科 徳田仁子)