京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 心の3対1(マインドフルネスへの道 vol.3)

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教員コラム

心の3対1(マインドフルネスへの道 vol.3)


コラム「マインドフルネスへの道」を読んでいただき、ありがとうございます。
今日は心の作用の一つ、「3対1の原理」についてお話します。

私たちは、ふだん、様々な経験をしていますが、なぜかネガティブな経験にとらわれやすい傾向があります。
こんな例があります。

あなたはクラスメートの前でスピーチをしました。スピーチ後に感想を伝えられたところ、10人のクラスメートのうち、9人が絶賛する内容、1人が批判的な意見でした。ただし、9人のコメントは簡潔な賞賛のコメントで、1人は具体的で的を得た批判的意見でした。

大半の生徒から褒められているのに、あなたは、すごく批判されて、失敗したような印象が残るかもしれません。

このように、私たちの心は、ネガティブな経験(情報)にとらわれて、つらい気持ちを引きずりやすい傾向があります。
ポジティブ心理学では、一つのネガティブな経験を乗り越えるにはポジティブな経験が3つ必要と指摘されています(Barbara Fredricson,2009,Positivity)

私たちの心が、いかに思うようにならないか、“monkey mind”(サルのような心)と呼ぶように、あちこちへ飛び回って、コントロールするのが難しいことは、前回マインドフルネスへの道で説明しましたが、こうした心は、ネガティブな記憶や情報を引っ張り出すのを好みます。
そのため、私たちの人生には、素敵なこと、幸せなことがたくさんあるのに、ついネガティブなことに注意を向けてしまい、つらくなったり、落ち込んだりします。

ネガティブな気持ちに引っ張られないためには、こうした心の作用を理解して、
「あっ、またネガティブなことばっかり見てるな」と気づくことが大切です。
そうした気づく力を鍛えるには、いろいろな方法がありますが、マインドフルネス瞑想やヨガが効果的です。
ヨガやマインドフルネスについても、連載していきたいと思います。

2022年1月17日 心理学科 谷本拓郎