2026.05.27 教員コラム

こころの中の絵本

 授業の中で、大学生におすすめの絵本を尋ねる機会がありました。すると、たくさんの絵本の名前が挙がりました。その中には、私が子どもによく読み聞かせていた絵本や、私自身が子どものころに読んでいた絵本もありました。

 親世代は、自分が読んでもらった絵本や、子どものころに親しんだ絵本を、わが子にも読んであげたくなるものなのでしょう。私自身も、特に思い入れのある絵本を子どもに読み聞かせていたことを思い出しました。学生さんたちの幼少期からすでに15年ほど経っていて、私の幼少期からも半世紀近く経っていますが、今も書店や図書館で見かける絵本は多く、絵本の息の長さを感じました。

 このように長く読み継がれている絵本は、子どもの成長や親子の時間とも深く結びついています。絵本の読み聞かせは、親と子のコミュニケーションという点からも大切にされています。そのため、絵本というと、小さな子どものためのものというイメージがあるかもしれません。しかし、大学生になっても、あるいは大人になっても、昔親しんだ絵本を見ると、懐かしい思いがふっと湧き上がってくることがあります。それは、絵本がその人のこころの中に長く留まっているということでしょう。

 絵本の記憶は、物語の内容だけではありません。絵の色づかい、言葉の響き、好きだった場面、何度も読んだ感覚、そして誰かに読んでもらった時間など、さまざまなものが重なって、一冊の絵本が「なつかしいもの」として、こころに残っていくのだと思います。

 絵本は、子どもの時期だけで完結するものではないようです。大人になってからもう一度出会うことで、子どものころとは違った見え方をすることもあります。大学生が挙げてくれた絵本の名前を見ながら、絵本は記憶の中で長く生き続けるものなのだと、あらためて感じました。

 こころが少し疲れたときには、いったんスマホから離れて、子どものころに好きだった絵本を眺めてみるのもよいかもしれません。友達同士で思い出の絵本について語り合うのもお薦めです。


京都光華女子大学 健康科学部 心理学科
准教授 礪波 朋子



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