「この回答、なんとなく○○先生っぽい!」
私たちは普段、相手の話し方や行動、見た目、これまでに知っている情報などから、「この人はこんな人だろう」と自然に印象をつくっています。
心理学では、このように他者の性格や考え方などを推測する心の働きを「対人認知」と呼びます。
今回ご紹介する「社会ゲーミング・シミュレーション」では、社会や人との関わりをゲーム形式で体験しながら、社会心理学について学びます。
授業では3種類のゲームに取り組みますが、今回はその中から「対人認知ゲーム」の様子をご紹介します。

対人認知ゲームでは、まず複数の先生方に事前に答えていただいた質問への回答が学生に提示されます。
たとえば、
「今日が世界最後の日だったら何がしたいですか?」
「学生時代の苦い思い出は何ですか?」
「人生最大の危機は何ですか?」
といった質問です。
ただし、回答には先生の名前が書かれていません。
学生たちは、それぞれの回答を読んで、「これはどの先生の回答だろう?」と予想します。
最初は一人ひとりで先生方への印象を考え、その後はグループで相談しながら回答を組み合わせていきます。
ここで大切なのは、単に正解を当てることではありません。
「この先生はこういうことを言いそう」
「以前聞いた趣味と関係がありそう」
「普段の印象から考えると、この回答かな?」
など、「なぜそう判断したのか」を考えながらゲームを進めていきます。

そして、いよいよ答え合わせ。


予想どおりの回答もあれば、「えっ、この回答がこの先生だったの!?」という意外な組み合わせもあります。
答え合わせの前後では、先生方に対する印象についても回答します。
つまり、自分がもともと持っていた印象と、新しい情報を知ったあとの印象を比べることができます。
ゲームのあとには、体験を心理学の視点から振り返ります。
学生の振り返りでは、
「自分が持っていた印象と実際の回答が一致しない先生がいた」
「グループや人によって先生への印象が違っていた」
「人を理解することの難しさを感じた」
「自分がその人をどう見ているのかにも気づいた」
といった声がみられました。

私たちは、他者の行動や発言などを手がかりに、その人の性格や能力、意図、態度などを推測しています。この働きが「対人認知」です。
そして、とくに相手と出会った初期に、その人についての印象をつくっていくことを「印象形成」といいます。
授業ではさらに、最初に得た情報が印象に影響する「初頭効果」、1つの特徴からその人全体を評価してしまう「ハロー効果」、所属する集団のイメージから判断する「ステレオタイプ」など、印象形成に影響するさまざまな心理について学びます。
普段は無意識のうちに行っている「人を見る」という行為。
しかしゲームにしてみると、そこには自分自身の経験や思い込み、すでに持っている印象など、さまざまな心理が関係していることが見えてきます。
「なぜ私は、この人をこんな人だと思ったのだろう?」
楽しみながらゲームに取り組み、自分自身の「人の見方」を振り返ることができるのも、社会ゲーミング・シミュレーションの魅力の1つです。
京都光華大学 健康科学部 心理学科
講師 黒川 優美子
