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教員コラム

春を待つ季節に

冬 来たりなば 春 遠からじ

イギリスの詩の一節だそうですが、4月から新年度の始まる日本においても、季節的に、また人生を例える比喩として今の季節にぴったりではないでしょうか。
中学生や高校生の皆さんにとっては次の学校の受験があるでしょう。大学生は卒業論文・卒業研究、大学院生は修士論文の提出と発表や試問がありました。そして、社会人として社会に出るための準備。人生の節目はいつもこの季節。

 人生上の大きな出来事は、喜ばしく嬉しいことも、辛く悲しいことも、大きな変化に適応するためにエネルギーが必要であるという意味で、ストレスの原因であると言われています。

今は辛くとも、耐えていればやがて春がやってくる。
そう考えて頑張ることや、一定の忍耐はもちろん大事です。受験などゴールのあることは、それを目指してラストスパートをかけている人も多いことと思います。本当にあとひと踏ん張りですね、頑張ってください!

しかし、長期にわたることやゴールの見えないことなど数々のストレスとうまく付き合っていくためには、”頑張る”以外の対処も大切になってきます。問題を解決しようと正攻法で対処する他に、別の見方をする、気分転換をする、周りの人のサポートを受けるなど、いろいろな方法を使ってみてはいかがでしょうか。
例えば、誰かに少し話してみたら自分にはなかった解決方法を教えてもらえるかもしれないし、ちょっと愚痴ってみて気が晴れることもあります。そんな、ちょっとしたこともサポートになります。

また、「冬」を寒くて暗くて辛い季節と捉えるのもひとつですが、冬には冬の素敵なことを探すこともできますよね。冬ならではのおいしい食べ物、冬にしかできないファッション、暖かい部屋のありがたみを感じること。探せばいろいろあると思います。
ちなみに私はヴィオラという花が好きですが、通勤途中などで見つけると、とても嬉しくなります。可愛いのに寒さに負けない強いお花なのです。

それと同じように、人生の「冬」にも小さな楽しみや、自分にとっての意味を見つけることができるのではないでしょうか。

私の専門は「健康心理学」という分野で、ストレスなど、多くの人の心の健康に関することに関心を持っています。今日、ストレスの問題は、子どもから大人まで、誰にとっても大変身近なテーマです。今後もストレス問題を少しでも解決できるように研究を積み重ねていきたいと思います。また、心理学の研究成果にもとづいた知識を多くの人に知ってもらい、ストレスとうまく付き合っていくことができるように、少しでもお役に立ちたいと思っています。

神庭 直子(2016年2月5日)

大学内のヴィオラと大学近くのお花屋さんのヴィオラ