2026.02.16 ぼうさいらぼ

「震度10」は存在しないが「10段階目の震度」は存在する!?|「震度」を正しく理解してあなたの命を守る方法をわかりやすく解説します

最近、地震が多くて嫌ですよね。何が嫌かって、突然揺れが来るところです。
緊急地震速報なるものはありますが、緊急地震速報のスピードでは内陸で起こる直下型地震ではあまり意味をなさないんですよね(仕組み的にそういうものです)。それで、いざ警報が鳴っても「あれ?アラームかけてたかな??」と勘違いしてしまってほとんど何もできないサトウですこんにちは。防災士資格を剥奪される日は近いようです。

この記事は「震度」に関するお話です。大体5分で読めます。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 地震ニュースで震度を聞いてもピンと来ない方
  • 「震度10だった!」と言ったことがある方
  • 家屋の地震対策をしたいけど、まず何を知ればいいかわからない方

「震度」と「マグニチュード」の違い

地震のニュースを見るとき、今回のトピックである「震度」とセットで「マグニチュード」という言葉も聞きますよね。この2つの違いがまずわからない!という方のために見やすくまとめておきました。

マグニチュード

地震そのもののエネルギーの大きさを表す値。震源の規模を表す世界共通の数値(厳密には、マグニチュードにも種類がある)。

震度

特定の場所での揺れの強さ。震源からの距離・地盤の硬さによって変わる。同じ地震でも場所ごとに異なる。

例えで覚える!マグニチュードと震度の違い

スピーカーでお気に入りの音楽を聴くとしましょう。このとき、マグニチュードは「スピーカーが出す音量」、震度は「あなたの耳に届く音の大きさ」です。同じスピーカーでも、近くにいるか遠くにいるか、壁があるかどうかで聞こえ方は変わりますよね?震度もそれと同じです。

スピーカーで音楽を聴く人

震度別:各震度で何が起きるか

震度にはどのような種類があるの?震度4ってどんな感じ?みなさんの知りたいことも一覧にまとめました。

0 人は揺れを感じないが、地震計には記録される
1 室内にいる人の一部が揺れをわずかに感じる
2 室内の多くの人が揺れを感じる。吊り下げ物が少し揺れる
3 室内のほぼ全員が揺れを感じる。棚の食器が音を立てる
4 眠っている人が目を覚ます。重い家具が音を立てて揺れる
5弱 大半の人が恐怖を覚える。棚の物が落下し始める。固定していない家具が動く
5強 行動が困難。固定されていない家具や補強されていないブロック塀が倒れることがある
6弱 立っていられない。耐震基準を満たさない建物が倒壊し始める
6強 這わないと動けない。旧耐震基準の建物が多く倒壊する恐れ
7 倒壊する建物がさらに多くなる

参考:気象庁震度階級関連解説表

この表から見てもわかるとおり、日本における最大震度は「震度7」です。現在の制度では震度7より上は存在しません。
なので、「今の地震、めっちゃ大きかったな!震度10くらいあったんと違う!!?」というのは、(そう言いたくなるくらい怖い思いをした気持ちは分かりますが)デタラメということになります。

そして、上の震度一覧の段階数を数えてみてください。震度0、震度1、震度2…と数えていくと、震度7が「10番目」になるんですね。これがこの記事のタイトルにある「10段階目の震度」の答えです。

ちなみに、日本と同じ震度階級を使っているのは台湾くらいで、世界では「改正メルカリ震度階」と呼ばれている階級などが使われています。なんかフリマサイトみたいな名前ですね。違いますよ。きっとお値下げには応じておりません。

建物被害が一変する震度は「震度6弱」

では、震度一覧の中で建物に関する被害の状況がガラッと変わる震度はどこでしょうか?
正解は「震度6弱」です。

震度6弱以上の地震になると、旧耐震基準(〜1980年)で建てられた木造建築の建物が倒壊する可能性が上がります。


画像出典:内閣府(2025).「南海トラフ巨大地震の被害想定項目及び手法の概要」

この図は、計測震度と建物が全壊する割合との関係を表す「全壊率曲線」と呼ばれるグラフです。震度5強(グラフの横軸が5.0-5.5の区間)までは旧耐震基準の建物が倒壊することはほとんどありませんが、震度6弱(横軸が5.5-6.0の区間)の領域になるとグラフが上がる、つまり建物の全壊が発生し始め、震度6強(横軸が6.0-6.5の区間)では全壊の可能性がかなり上がることが見て取れます。


多くの方が心配されている「南海トラフ地震」では、内陸部でも震度6弱や震度6強が想定されている地域が数多くあります。下の参考サイトで確認してみてください。「自分の地域は大丈夫」という保証はありませんよ!

参考:共同通信社「『南海トラフ巨大地震』 地図とデータで見る新・被害想定」

建物が倒壊するとどうなるのか?

当然、命の危険が生じます。防災の分野では「自助・共助・公助」や「ローリングストック」など様々な言葉が出てきますが、いっっっっちばん大事なことは「災害にあったときに自分が死なない」ですからね!死んでしまっては、防災リュックに入れた水も、万が一のときのために取っておいたあのチョコレートもすべて無駄になります。何より、あなたの大切な家族が悲しみます。生きましょう。

ここだけ覚えよう:「震度5と6は全然違う!」
  • 建物被害の状況が一変する震度は「震度6弱・6強
  • 1981年より前の建物、特に木造建築は要・要・要注意!
  • 災害時はとにかく自分の命を守ることが最優先!

すぐできる!あなたの命を守るための3つのアクション

ここで、ご自宅が旧耐震基準で建てられていることを何となく悟ったあなた。


「オワタ…」と悲観しないでください。今からやれることはありますよ!
また、比較的最近建てられたご自宅に住んでいるあなたも、安心は禁物です。

Action1:あなたの家の築年数を確認しよう

これを読んでいる高校生・大学生の方々は、ご家族に聞くのが一番早いですね。もし分からないようだったら登記簿で確認できます。賃貸の場合は賃貸借契約書か管理会社に確認しましょう。

Action2:耐震診断を申し込もう

1981年以前に建てられた建物の場合は耐震診断を行いましょう。多くの自治体では無料または低コストの耐震診断制度を設けています。「お住まいの自治体名 + 耐震診断 無料」で検索すれば制度が見つかります。

(京都市の例) 京都市 耐震診断・耐震改修の助成制度

Action3:家具が襲ってこないようにしよう

建物が倒壊しなくても、地震の際にはあなたの家にある家具が容赦なく襲ってきます。高校生・大学生の方々は、自分でできる対策という意味で、実はここが最も重要です。旧耐震・新耐震にかかわらず、すべての方に重要なお話ですよ!

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(番外編)Action0:ハザードマップで想定被害を確認しよう

自分の家の周辺でどのくらいの地震被害が想定されているかを確認できるのが「ハザードマップ」です。地震のハザードマップは各自治体で用意しているので、ハザードマップポータルサイト「わがまちハザードマップ」を使うか、「お住まいの自治体+ハザードマップ」で検索して確認するようにしましょう。

 ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

(京都市の例)京都市防災ポータルサイト

大事なのは「知識」よりも「行動」

今回は震度に関する解説を行いました。震度に関する正しい理解も大切ですが、何よりも「死なないための行動」——これが最も大切だということを理解して頂けたら幸いです。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行っている。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
免責事項

この記事は著者の研究・教育成果をもとに作成したものです。大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。防災には現場の状況に応じた判断が必要です。記事に含まれる情報の活用は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。

参考・出典

気象庁「気象庁震度階級関連解説表」
内閣府(2025).「南海トラフ巨大地震の被害想定項目及び手法の概要」
共同通信社「『南海トラフ巨大地震』 地図とデータで見る新・被害想定」

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