2026.02.19 ぼうさいらぼ

水・食料と合わせて買うべき『第3の必需品』とは?|一人暮らし向けの防災グッズ最低限リストを厳選

一人暮らしで最低限必要な防災グッズは何でしょうか?

防災訓練に招かれると「先生、防災グッズは何を買えばいいの?」とよく聞かれます。一応、大学教員なので。でも私だって人間、失敗もします。備蓄用の缶詰の消費期限が数年切れていても(えっ)こう考えます。

「空気に触れてへんから大丈夫!(ぱくっ」

きっと特別な訓練を受けているサトウですこんにちは。絶対に真似しないでください。

そんな失敗を経て?私がたどり着いた「防災グッズ三種の神器」があります。水や食料と合わせて最優先で準備すべき『第3の必需品』とは何か?5分でわかりやすく解説します。

この記事でわかること
こんな人におすすめ!
  • 「防災グッズって何を買えばいいの?」と迷っている方
  • 引っ越し・新生活を始めたばかりの方
  • 「非常食を買えば完璧」と思っている方

まず知っておこう:備蓄はなぜ「最低3日分」なのか

防災グッズの話をする前に、「なぜ3日分の備蓄が必要なのか」を確認しておきましょう。

これまでの大規模災害の経験から、以下のことがわかっています。

  • ライフライン(水道・ガス・電気)の復旧:数日〜場合によっては数ヶ月以上かかることがある
  • 支援物資の到着:3日以上かかる可能性が高い

つまり「最初の3日間は、自力で生き延びることを迫られる」のです。この3日間を乗り越えれば、避難所などへ支援物資が届き始めるようになります。

これをもとに、農林水産省は「最低でも3日分、できれば1週間分の食料品と水を備蓄しましょう」と呼びかけています。

参考:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(1)」

また、南海トラフ地震など広域に甚大な被害が及ぶ可能性がある場合は、1週間以上の備蓄が望ましいとの指摘もあります。

参考:内閣府「できることから始めよう!防災対策」

甚大な被害と言えば、2011年に発生した東日本大震災を想像する方が多いと思います。このときの岩手県・宮城県における支援物資の状況をロジスティクスの観点から研究した桑原・和田(2013)では、調査の結果
“震災後1〜2週間の国,県が調達した食料品の供給量は,(岩手・宮城)両県ともにご飯類が0.5kg/人/日,パンが1.5個/人/日程度であり,十分とはいえなかった”
と結論づけています。確かにこれだけでは足りそうにありませんね。ですので、ご自身での準備が重要なんです。

参考:桑原雅夫, 和田健太郎(2013). 東日本大震災における緊急支援物資の流れの記録と定量分析. 運輸政策研究, 16巻1号, pp.042-053.

まず「3日分」を目標に揃え、生活に慣れてきたら「7日分」に増やしていきましょう。
ご自身で色々と勉強されて、「いやいや2週間分必要だ!」と思われたあなた、防災のエキスパートに近づいていますね。この話は「ローリングストック」をテーマに別の記事で紹介します。

サトウが厳選!2026年最新
防災グッズ 最低限リスト
(一人暮らし版)

それでは本題です。以下を「まず揃えるべき最低限」として厳選しました。

最重要!
生死を分ける防災グッズ「三種の神器」
1

必要量:1日3リットル × 3日分 = 最低9リットル
防災グッズ_水

「1日1リットルで足りる」という情報を見かけることがありますが、これは飲料水だけの最低ライン。調理・手洗い・歯磨きなどの生活用水を含めると、1日3リットルあれば安心です。

参考:内閣府「特集3 地震に備える」

2Lペットボトルを5本(10L)確保しておけばひとまず安心です。できれば7日分(21L)を目指しましょう。

ポイント:ペットボトルの水は直射日光・高温を避けて保存する。一般的な賞味期限は約2年(長期保存水は5〜7年のものもある)。

2

食料(3日分=9食)

どのくらいの量を備蓄すればいいか、カロリーを目安にして考えてみましょう。

厚生労働省によると、18〜29歳の基礎代謝量の目安は以下のとおりです。

  • 男性:約1,520kcal/日
  • 女性:約1,110kcal/日

基礎代謝量とは、何もしていない安静な状態でも体が消費するエネルギーの最低ラインです。避難生活中は動き回ることも多いため、実際にはこれ以上のカロリーが必要になります。備蓄食料を選ぶ際は、「少なくとも基礎代謝量を下回らない量」を目安にしましょう。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」

大前提として、「加熱・調理不要でそのまま食べられるもの」を優先します。災害直後はガスも水道も使えない可能性があります。

おすすめの一人暮らし備蓄食料(3日分の目安)
主食
・アルファ米(アルファ化米):3〜5パック
・カップ麺・インスタント麺:3〜5個
・缶詰パン・乾パン:2〜3缶
主菜・副菜
・缶詰(サバ缶、焼き鳥缶など):5〜7缶
・レトルト食品(カレーなど):3〜5パック
栄養補完
・野菜ジュース(1日1本の目安):3〜5本
・栄養補助食品(カロリーメイトなど):3〜5
防災グッズ_食料
ワンポイントアドバイス!
「非常食専用品」をわざわざ買わなくても大丈夫です。普段食べているカップ麺や缶詰を少し多めに買い置きして、食べたら補充する「ローリングストック法」が節約にもなりますし、コスパ最強の備蓄方法なんです。これはまた別記事で紹介しますね。
3

携帯トイレ・簡易トイレ

第3の必需品!
必要数:15回分以上(1日5回 × 3日分)、できれば35回分(1週間分)

「水や食料は準備したけどトイレは考えていなかった」という方が非常に多いです。これは大変危険な見落としです。

大規模地震では下水管が損傷し、たとえ水が出ていてもトイレが使えなくなるケースがあります。トイレを我慢すると、脱水症状や健康障害につながりますし、「これから3日間、一度もトイレに行かないでください」と言われても、生理現象ですから無理ですよね?

経済産業省は災害用トイレの備蓄目安として「1人あたり35回分/週」を推奨しています。これを読まれている多くの方は「今のあなたの備えでは圧倒的に足りません!」まずはこの自覚からスタートです。3日分の15回を目標に、余裕ができたら1週間分の35回分に増やしていきましょう。

参考:経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」

防災グッズ_トイレ

携帯トイレ・簡易トイレは1回分が数十円〜200円程度。15回分でも3,000円以下で揃います。

ワンポイントアドバイス!
男性・女性で使いやすい形状が異なる製品もあるので、購入前に確認を行いましょう。「トイレ問題」と呼ばれるくらい重要なトピックですので、あらためて別記事で紹介します。

これも揃えたい!次に備える最低限リスト

4.懐中電灯(または充電式ランタン)

防災グッズ_懐中電灯

夜間の停電、家の中の倒壊物を避けながら動くとき必須です。スマホのライト機能は電池を消耗するので、懐中電灯は別途必要です。

ポイント:電池式の場合、電池の予備も忘れずに。充電式ランタンタイプはモバイルバッテリーで充電できるものが便利。

5.モバイルバッテリー(大容量)

防災グッズ_モバイルバッテリー

高校生・大学生の皆さんだけでなく、ほぼすべての方でスマホはもう生活必需品ですよね。スマートフォンは災害時に安否確認や避難経路確認の手段、情報収集ツールとしてとても重要で、特に一人暮らしの方はバッテリーが切れてしまうと致命的な状況に陥ることもあります。

目安:10,000mAh以上(スマホ約3回充電分)できれば20,000mAhクラスを1台持っておくと安心。普段から充電した状態を保つのを忘れずに。

6.救急セット・常備薬

防災グッズ_救急セット

市販の救急セット1セットあれば基本的には足ります。加えて、普段から飲んでいる薬(花粉症・喘息・持病の薬など)は必ず3〜7日分を余分に確保しておきましょう。避難所では持病の処方薬を手に入れるのはかなり困難です。これは一人暮らしの方が特に見落としやすい盲点です。

 7.現金(小銭含む)

防災グッズ_小銭

災害時はATMが使えなくなります。電子マネー・クレジットカードも停電中は使えないお店が増えます。お札だけでなく小銭も一定量用意しておくのが現実的です。

ワンポイントアドバイス!「小銭は自動販売機で使える!」
防災グッズの紹介で、小銭は「公衆電話で使えるから」と紹介されていることも多いんですね。もちろん使えるのですが、高校生・大学生の皆さんは重要性がピンと来ないのではないでしょうか。
そこでこう覚えてください。「小銭は自動販売機で使える!」災害時に無料で飲み物を提供する「災害救援ベンダー」というものもあるのですが、すべての自販機が対応しているわけではありません。1万円札を持っていても目の前にある飲み物が買えない…そういう状況にならないためにも小銭をある程度準備しておきましょう。
自動販売機

参考:島林勇弥, 重本祐樹(2018).「地域社会にとってなぜ災害支援型自動販売機が必要なのか?」, 地域安全学会梗概集, No.43, pp.39-42.

8.カセットコンロ+ボンベ

必要数:ボンベ6本(1週間分の目安)
防災グッズ_カセットコンロ

電気・ガスが止まっても、温かいものが食べられると心身への影響が全然違います。1週間分の備えとしてカセットボンベを6本用意することが目安とされていますが、1人暮らしで常に6本備えておくのは大変ですよね。ですのでこう覚えてください。「まずは1パック(3本)備えよう!」

参考:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(1)」

注意点:カセットボンベには使用期限がある(製造後約7年が目安)/ コンロ本体も約10年が耐用年数の目安 / 必ず屋外または換気した場所で使用すること(一酸化炭素中毒に注意)

孤独な被災:一人暮らしの「詰み」を避ける

家族と暮らしている場合と違って、一人暮らしには独自のリスクがあります。

盲点1:助けを呼べる人がいない

家族が一緒に住んでいれば、自分が家具の下敷きになったときに助けを呼ぶ人がいます。一人暮らしではそれができません。だからこそ前回の記事でお伝えした「家具の固定」が命に直結します。

盲点2:自分の安否を知らせる手段を決めておく

災害時に家族・友人に「生きてます」と連絡できる手段をあらかじめ決めておきましょう。NTTの「災害用伝言ダイヤル(171)」や、各キャリアの「災害用伝言板」の使い方を今のうちに確認しておくことを強くおすすめします。私の経験上、LINEは災害時でも繋がることが多いので、安否確認手段に組み込んでおくこともおすすめです。

盲点3:避難所での「一人」は想像以上につらい

避難所では家族単位で避難生活をされている方も多いです。そのような中で一人でいると、情報収集・物資の確保・夜間の安全確保など、あらゆる場面で不安が残ります。近隣との関係を普段から作っておくことが、実は最大の防災グッズかもしれません。

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これだけは覚えよう!まとめ

防災グッズ最低限リスト(一人暮らし版)
【最優先で揃える3選】
1. 水(2Lペットボトル5本〜)
2. 食料(3日分=9食)
3. 簡易トイレ(15回分以上)
【次に揃える5選】
4. 懐中電灯+電池
5. モバイルバッテリー(大容量)
6. 救急セット+常備薬
7. 現金(小銭含む)
8. カセットコンロ+ボンベ
  • まずは「最低3日分」、生活に慣れてきたら「7日分」を目安に揃えよう
  • 「水・食料・トイレ」が最優先で揃える三種の神器!
  • 一人暮らしでは「命を守る」「安否確認」「地域との繋がりづくり」を普段から意識しておこう

「全部一気に揃えなきゃ」と思わなくていいです。今日まず水を5本買う。どんなトイレが売ってるか100円ショップに見に行くだけでも十分です。

「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。

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Author

サトウ先生|博士(工学) / 防災士
「専門知識を、わかりやすく身近に。」これまで数々の自然災害を目の当たりにしてきた実体験をもとに、防災に関する大学での講義や地域での講演を行う。南国出身のため雪にはとっても不慣れで、京都での最大の災難は大雪のときに滑ったことだと思っている。摩擦係数の計算は得意だが、雪道の滑りやすさは計算外だった。だが、その失敗さえも防災の教訓に変えてしまうのが私のスタイルだ。実に面白い。
免責事項

この記事は著者の研究・教育成果をもとに作成したものです。大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。防災には現場の状況に応じた判断が必要です。記事に含まれる情報の活用は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。

参考・出典
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(1)」
内閣府「できることから始めよう!防災対策」
内閣府「特集3 地震に備える」
経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」
厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・島林勇弥, 重本祐樹(2018).「地域社会にとってなぜ災害支援型自動販売機が必要なのか?」, 地域安全学会梗概集, No.43, pp.39-42.
・桑原雅夫, 和田健太郎(2013). 東日本大震災における緊急支援物資の流れの記録と定量分析. 運輸政策研究, 16巻1号, pp.042-053.
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