2026.07.21 教員コラム

『一冊の本から始まった勉強会』

きっかけとなったのは、近隣の大学の先生が紹介してくださった一冊の本、佐藤公治先生の『「日常言語」のリハビリテーションのために―失語症と人間の言語をめぐる基礎知識―』です。

先日、3人の言語聴覚士が集まり、この本を囲んでページを繰りながら、心に留まった箇所について語り合いました。
心理学や哲学、言語学、語用論、対話論など、幅広い視点から、人間にとって言語とは何かを深く考えさせられる内容に感銘を受け、話は尽きませんでした。できることなら、一週間ほどこの本だけをじっくり読んで過ごしたいと思わされる一冊です。

この本で扱われている理論は、どれも決して簡単なものではありません。しかし、著者の文章はとても明晰で、表現の一つひとつが精緻であり、読み進めるうちに、自分のこれまでの臨床経験が生き生きと蘇り、言語化され、意味づけられていくような感覚を覚えました。
そして、今担当させていただいている失語症の患者さんの次回の訓練をどのように組み立てようかと考え、早くお会いしたいという気持ちが強まりました。

この本をきっかけに、勉強会「Pilgrim(ピルグリム)」が立ち上がりました。Pilgrimには、「巡礼者」という意味があります。偉大な先人たちの理論をたどり直し、再発見しながら、言語や臨床について考え、少しずつ学びを深めていく会にしたいという思いが込められています。
始まったばかりの小さな会ですが、所属や立場を越えて、関心のある方と一緒に考える場にしていきたいと思っています。少しでも興味のある方は、どうぞ遠慮なくお声がけください。

失語症のある方や発達期の子どもたちの言語臨床に携わることは、人の言語がどのように成り立ち、変化するのかを深く考えることにつながります。目の前の一人ひとりの「ことば」から「言語とは何か」を考え続けるところに、言語聴覚士という仕事の奥深さと面白さを改めて感じます。

教員 英


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