2026.09.29 教員コラム

チームラボ京都で考えた「見る」ということ

先日、チームラボ京都を訪れる機会がありました。

館内に足を踏み入れると、光や色、音、そして自分自身の動きによって、目の前の空間が次々と変化していきます。壁に映し出された映像を「見る」というよりも、自分がその空間の中に入り込み、作品の一部になったような感覚を覚えました。

私は普段、言語聴覚士を目指す学生たちに、人が「見る」「聞く」「話す」「理解する」といった機能について教えています。今回の体験で改めて感じたのは、私たちの「見る」という行為は、単に目に入ってきた情報を受け取っているだけではない、ということです。

同じ空間にいても、どこに注意を向けるかによって、見えている世界は変わります。何かに夢中になっていると、すぐ近くで起きていることに気づかないこともあります。また、音が加わることで映像の印象が変わったり、自分が動くことで、それまで気づかなかったものが突然見えてきたりします。


これは、私が専門としている「ことば」にも通じるところがあります。

私たちは誰かの話を聞くとき、耳に入ってくるすべての音を同じように処理しているわけではありません。たくさんの音の中から必要な情報に注意を向け、意味を取り出し、相手の意図を理解しています。「聞こえる」ことと「聞く」こと、そして「わかる」ことは、実は同じではありません。

言語聴覚士が向き合うのは、こうした人間の複雑な認知の仕組みです。

教科書で脳の機能を学ぶことはもちろん大切ですが、ときには教室を離れて、自分自身の「見え方」や「聞こえ方」が揺さぶられる体験をしてみる。そこから、人の脳やコミュニケーションについて考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

チームラボの幻想的な空間を楽しみながら、いつの間にか「人はどのように世界を認識しているのだろう」と考えていました。

職業柄でしょうか(笑)。

でも、そんな日常のちょっとした「なぜ?」から始まることも、大学で学ぶ面白さの一つだと思っています。


教員 河村

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