京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 我が家のアニマルセラピー(4)

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教員コラム

我が家のアニマルセラピー(4)

6月18日大阪北部地震がおきた。ソラとの散歩を終え、朝ご飯を食べようとしたその時である。いきなり大きな揺れだった。動物は災害時、異空間に行きたがるのかもしれない、家中にいるものは外に、外で飼われているものは家中に。ソラもグラッときた途端犬ドアを使って庭へ出ようとした。ソラは家中では首輪も鎖もつけていないので、力でいうことを利かせられる状態ではなかった。しかし、今庭にでると危険である。私は、「ソラ、カム、カム!」と叫んだ。

ソラは3ヶ月を超えて我が家にきたせいか、自分で考えて行動する犬である。なので例えば「カム」といっても、台所で誰かが食べていると、おこぼれをもらいたがっていうことをきかないことがある。私もロボット犬を作りたいわけではないので、従う従わないはソラの判断を尊重してきた。そのため、この緊急時にソラにいうことをきかせる自信はなかった。でもソラを絶対守らなくてはならない、「ソラ、カム!カム!」私は再度悲鳴に近い声で叫んだ。その途端ソラは方向転換して私のところへ飛んできた。私は、ソラを力いっぱい抱きしめ、ソラは私の胸に顔を押し付け、我々は一体化して揺れていた。これまで体験したことのない大きさと長さの地震をこうして2人で凌いだ。

絆、つまり心が通じる体験をすることは動物との生活の中ではそう多くない。しかし、この経験はソラと私の心が通じた瞬間だった。私はソラを私に委ねられた命だと想い、ソラは従うべきいいつけだと瞬時に判断した。絆とは、相手を思い・信じる心から生まれるのかもしれない。

家中はメチャクチャになったが、お陰様で家族は皆無事だった。この地震の後も、豪雨や台風で多くの方々が難儀を強いられている。

被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げるとともに、1日も早く復旧が進むことを念じおります。

 

川西 千弘(2018年8月17日)