京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 弔うこと、弔われること(映画「おくりびと」を観て)

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弔うこと、弔われること(映画「おくりびと」を観て)

心理学科では、人のこころに関することなら何でも自分の研究テーマとしてアプローチすることができます。3年生、4年生は「卒業研究・卒業論文」が必修ですので、学生はゼミで自由に研究テーマを決めて心理学の探求を進めていきます。
今回は「死」について考えたいという要望がありました。しかし身近に「死」を経験したことがない学生もいたので、まず映画「おくりびと」を教材の一部にしました。ひとりひとり、「死」を身近に引き寄せて深く考える機会となったようです。以下、受講生の声の一部を紹介します。

「死の門をくぐる前に」
今まで死について考えることって少なかったなと思いました。「おくりびと」を見て、死は突然おきることが多く、心の準備をすることなく起きるものだと痛感しました。もし自分の親が今死んでしまったら、私はどうなってしまうのだろうとか親は幸せだったと思っているのだろうかとか後悔もたくさんでてくる気がします。自分の論文に繋げるとすれば、死がおとずれる前にどれだけ親と触れ合ったり話したりすることが大切なのかということを考えさせられました。大人になるにつれ親とのスキンシップは少なくなると思います。私は、触れ合うことだけがスキンシップではないと思っているので話す機会や手紙など普段なかなか言えないことをしっかり伝える日を増やそうと思います。

「思い」
死んだ人への思いは、死んでからじゃないとわからないこともあって、だいたいの人はその人に、申しわけないとか、もっとこうしてればよかったとか、後悔して見送っているのだと思う。私は後悔を絶対にしないとは言いきれないけど、そういう生き方をしたい、人と接する中で。

「死に関する仕事について」
自分の身内が亡くなった経験がないので、納棺師という仕事を初めて認識したように思います。私はあまり人の死に関する仕事に対して悪いイメージはもっていません。なぜかというと、人は絶対に死ぬし、死んだ時に行われる密儀は最も大切な行事で、その仕事に関わっている人に対して尊敬する思いがあるからです。しかし映画をみて妻が、けがらわしいと言ったり、普通の仕事について、と言ったり、友達からもそのようなことを言われている場面があり、一般的にはあまりいいイメージではないんだということが衝撃でした。
また、火葬場の様子も初めて見て、自分もこのようになるんだと思うとさみしい思いがしました。だから、最後は家族にみとってもらって、その時は気持ちはないけど、おだやかな気持ちになるような雰囲気だったらいいなと思いました。

「残り50分のおくりびと・・・」
途中からの感想になるが、「納棺師」という言葉を初めて知り、故人の身体を清め、死に装束を着せて棺に納めることは、自分には出来ないことだと思った。
本木雅弘が演じる納棺師が、遺族に配慮しながら、遺体を清め・・・というシーンが私は一番胸を打たれた。自分が死んだらこんな風に送られたい。

以上