皆さんは「緊急地震速報」の音をスマホで聞いたことはありますか?聞いたとき、どのような行動を取っているでしょうか?
わたし、最近疑問に思うことがあるんです。はるか昔、ガラケーと呼ばれていた時代の話。若者はこぞって「着メロ」にこだわり、自分でポチポチ入力したり、3和音だ、いやいや私は4和音だと次第にメロディがリッチになり、そして着うたが出現して…でもスマホを持っている現代の若者、着信音はだいたいみんな一緒じゃないですか?あれだけ流行った着メロ(着うた)文化はどこへ?常に時代についていけないサトウですこんにちは。初期設定最高!
音というのは、聞き慣れると「音として認識されなくなる」 んです。電車のアナウンス、職場の電話、冷蔵庫の警告音。毎日聞いていると、やがて「聞こえているけど処理していない」状態になる。これを心理学では「馴化(じゅんか)」と言います。これ自体は脳の合理的な省エネ機能なのですが、困ったことに、絶対に聞き流してはいけない音にも同じことが起きます。その代表が、緊急地震速報の音です。
- 緊急地震速報が鳴るたびに「で、何すればいいの?」となる方
- 速報が鳴っても結局何もできないまま揺れ始めた経験がある方
- 「知っているけど体が動かない」を解消したい方
緊急地震速報の仕組みと「猶予時間」の現実
まず、緊急地震速報が「なぜ揺れる前に届くのか」を理解しておきましょう。
地震が発生すると、震源から2種類の揺れが広がります。
速度:秒速約6〜7km。伝わるのが速いが、揺れは小さい。気象庁の地震計がまずこれを検知する。
速度:秒速約3〜4km。P波より遅いが、実際の大きな揺れの原因はこちら。

(画像出典:気象庁「緊急地震速報の仕組み」)
気象庁は、全国に設置された地震計がP波を検知した瞬間に揺れの大きさ・到達時刻を計算し、S波(本震)が届く前にアラートを発信します。これが緊急地震速報の仕組みです(気象庁)。P波とS波の速度差を利用した「お知らせ」なので、震源から遠いほど猶予時間は長くなります。逆に震源に近いほど猶予時間は短く、場合によってはほぼゼロです。
猶予時間別:何秒で何をするか
猶予時間によって取れる行動は異なります。「考えてから動く」ではなく「鳴った瞬間に体が動く」ために、以下を頭に入れておいてください。
クッション・バッグ・腕で頭を覆い、その場でうずくまる。移動しようとするより、命を守ることが最優先です。
コンロの火を消す。ガスの元栓まで行く余裕はほぼないので、手の届く範囲の火だけ消す。その後すぐ頭を守る体勢へ。
窓・ガラス・本棚・タンスから離れる。テーブルの下・廊下・壁際など落下物の少ない場所へ移動する。出口(ドア)を開けておくと脱出しやすくなります。
靴を履く(ガラスで足を切らないため)。防災ポーチ・防災リュックを手元に置く。エレベーターを使っている場合は最寄りの階で降りる。
場所別・状況別の行動マニュアル
速報が鳴る場所はいつも自室とは限りません。授業中・通学中・バイト先——場所によって取るべき行動は変わります。
自室・建物の中にいるとき ▼
頭を守る(クッション・バッグ・腕)→ テーブルの下・壁際へ → コンロの火を消す(手が届けば)→ 出口のドアを開けておく
あわてて外へ飛び出す(落下物・倒壊物に当たる危険)、揺れている最中にエレベーターを使う
靴は手の届く場所に置いておきましょう。ガラスで足を切るのを防ぎます。
教室・図書館・オフィスにいるとき ▼
机の下に潜る(机の脚をしっかり持つ)→ 窓・本棚から距離をとる → 揺れが収まったら職員の指示に従う
荷物をまとめようとする、窓の近くに留まる
屋外・街中を歩いているとき ▼
建物・塀・電柱・看板から離れる → 広い場所へ移動 → バッグ・腕で頭を守りながらしゃがむ
建物の壁際に密着する(外壁タイルが落ちてくる)
ブロック塀や自動販売機の近くも危険です。倒れてくることがあります。
電車・バスに乗っているとき ▼
つり革・手すりをしっかり握る → 姿勢を低くして頭を守る → 揺れが収まるまで車内に留まる
走行中に無理に降りようとする、ドアを自分で開けようとする
電車は緊急停止します。急ブレーキに備えて体勢を低くしておきましょう。
車を運転しているとき ▼
ハザードランプを点灯 → 急ブレーキを踏まず徐々に減速 → 道路の左側に停車 → エンジンを切りキーをつけたまま(または鍵穴に残したまま)車内で待機
急ブレーキ(後続車との追突事故リスク)、橋の上や高架下・トンネル出口での停車
エレベーターに乗っているとき ▼
全ての階のボタンを押す → 最初に止まった階で降りる → 壁に背中をつけて姿勢を低くする
エレベーターのドアを無理にこじ開ける
閉じ込められた場合は「開」ボタンや非常用ボタンを長押しし、インターホンで救助を求めましょう。
「体が動く」状態を作るための事前準備
行動マニュアルを読んでも「いざとなると頭が真っ白になる」という方は多いです。それは知識が行動に結びついていないから。以下の3つの事前準備が「体が動く」状態を作ります。
今いる場所で「速報が鳴ったら最初に何をするか」を考えてみましょう。落ちてくるものはないか、頭を守れる場所はどこか、出口はどこか。これを普段からやっておくことで、いざというとき体が自然に動きます。
家具が倒れてこない部屋を作ることが、猶予時間の長短に関わらず命を守る最強の対策です。
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緊急地震速報はスマホのシステム設定でオン・オフが切り替えられます。「通知音がうるさい」などの理由でオフにしている方はいませんか?命に関わる設定なので、今すぐ確認してください。
iPhone:設定 → 通知 → 緊急速報をオン
Android:設定 → 安全性と緊急情報 → 緊急速報メールをオン
まとめ:「考えてから動く」ではなく「動きながら考える」
緊急地震速報が鳴ってから「さて何をしようか」と考え始めると、数秒のうちに揺れが来ます。「考えてから動く」のではなく「鳴ったら即動く」ための準備が、今日の記事の本質です。
- 速報の猶予時間は震源距離によって「ほぼゼロ〜数十秒」まで幅がある
- 猶予5秒以内:頭を守ることだけ。それ以外は考えない
- 場所ごとの行動(屋内・屋外・電車・車)を事前にシミュレーションする
- 家具の固定・スマホの速報設定確認は「今すぐできる」最重要準備
「ちょっと防災」、今日から始めてみてください。
このブログは、学生や地域の皆様が防災の基本を体系的に学べる「オンライン防災教本」を目指して、本学教員である筆者の研究・教育成果に基づき作成しています。
実際の災害時は現場の状況に応じた柔軟な判断が求められます。記事に含まれる情報の活用は読者の皆様の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。また、記事の内容は大学の公式な見解や推奨を意味するものではありません。なお、記事に含みうる誤りに関する一切の責任は筆者に帰属します。
- 気象庁「緊急地震速報のしくみ」
- 矢守克也 (2011).「正常性バイアスと防災」『自然災害科学』Vol.30, No.1, pp.3-14.
