2021.04.15 社会福祉って何?

スクールソーシャルワーカーに必要な知識~小1プロブレムと中1ギャップ~

4月は新しい環境に行く人が多くなる季節ですね。

特に環境の変化が大きくなる人の中には子どもたちも含まれています。

 

特に小学校への入学や中学校への入学の場合には、それまでの環境との変化が非常に大きく、その変化についていくことや馴染むことが難しい子どもたちがいます。

今回はそうした子たちに焦点をあてた話をしたいと思います。

 小1プロブレムとは

まず、小学校に入学した子どもが学校生活に適応できないために、授業中に立ち歩いたり先生の話を聞かずに授業が成立しない状況になることを小1プロブレムといいます。

 

この小1プロブレムは、幼児教育から小学校教育へ指導が一変することで生じるといわれています。

例えば、幼稚園・保育園ではチャイムで行動するということはありません。

他にも45分間授業に集中する、宿題をする、テストを受ける、時間割を確認する、教科学習がメインになるなど、幼稚園・保育園とは異なることがたくさんあります。

また、ほとんどの子どもが、多くの新しいお友達、先生と出会うことになります。

 

このような状況は子どもたちに大きなストレスを与えます。子どもは大きなストレスがかかると、じっとしていることや集中すること、勉強したいという意欲を高めることが難しくなってしまいます。

クラスの状況としては、学級崩壊と似ているように思いますが、学級崩壊と異なるところは、そもそも「学級」として成立していないというところです。

こうした小1プロブレムを起こさないためには、幼稚園・保育園と小学校が連携し、カリキュラムや指導方法に大きなギャップが生まれないようにしたり、入学前に小学校に行って慣れるような工夫をしたり、家庭で学校でのことをたくさん話を聞いたり、習い事などの新しいことは学校に慣れてから始めたりといった工夫をすることが大切です。

中1ギャップとは 

次に、小学校から中学校に進学した際に生じる「中1ギャップ」というものについて説明をします。

小学校から中学校に進学した時にも様々な変化が生じます。

その変化にうまく適応できず、不登校になってしまったり、体調不良になったり、人間関係がうまく気づけなかったりする子たちがいます。
そうした状況を中1ギャップといいます。

小学生から中学生に進学した時に生じる変化にはどんなものがあるでしょうか。

1つ目に考えられるのは先輩・後輩という上下関係ができることです。

小学生の間は、上級生と遊んでも「お兄さん」「お姉さん」という位置づけで、名前を呼ぶときも「〇〇ちゃん」や「〇〇君」など同級生と同じような呼び方をしている子が多いでしょう。

また、ため口で話すことがほとんどなのではないでしょうか。

しかし、中学校に上がった突端に、上級生のことは「先輩」と呼ばなければならず、話しかけるときにも敬語を使わなければいけません。

6年生の時には「最高学年」として、3月まで責任を持った行動をとるようにと指導を受けていた子が、4月になったとたんに最年少となってしまいます。

これまで仲良くしていた近所のお兄さん、お姉さんとも話しにくくなるように感じたりするのではないでしょうか。

人間関係を築くことが苦手なタイプの子どもは、こうした上下関係により、人間関係を築くことがさらに難しくなってしまう場合があります。

 

2つ目は、定期試験があることです。

小学生の間は単元ごとにテストがあります。そのため、月に1回以上はテストを受けています。

漢字テストなんかは毎週のようにテストが行われているところも多いのではないでしょうか。

また、国語の時間はテストで、算数の時間は授業で・・と各科目によってテストが実施されたりもします。

しかし、中学校にあがると、中間テスト期末テストと学期に2回しかテストが行われなくなります。

そのため、テストの範囲が膨大になり、テスト期間は全校生徒が部活も休んでテスト勉強に集中するということになります。

また、中学校では「平均点」が発表されるなど、テストの点数により自分の成績を意識する機会も増えます。

そうすると、勉強が苦手だったり集中することが苦手なタイプのお子さんは、テスト嫌い、勉強嫌いになってしまったりします。

 

3つ目は教科担当制になることです。

小学校までは担任の先生がほとんどの科目を担当していました。そのため、担任の先生との関係が築きやすく、関係ができてしまえば、担任の学級運営に沿って活動を行ったり、困った時は担任の先生を頼ればいいわけです。

しかし、中学校は、各教科ごとに教員が変わります。

そのため、各教科ごとの先生の顔と名前を覚え、どのような方法で授業を進めていくかを知らなければなりません。

担任の先生は配置されますが、担任の先生の教科によっては、朝礼と終礼でしか顔を合わせないということも生じます。

教科担当制は、担任の先生と合わなかったときでも学習に支障をきたしにくいなどメリットもありますが、先生との関係が築きにくいというデメリットもあり、特に人間関係を築くのが苦手な子どもや、人見知りが激しい子どもにとっては、大きな壁となってしまいます。

 

こうした中1ギャップにより、学校に行けなくなってしまったり、体調不良になってしまう子どもさんの背景には、小学校の頃からの積み残し先送りにされた課題があることがあります。
小学生の頃から友達関係や勉強などに苦手さを抱えていながらも、その課題をどう克服するか、どのように対処していくかについて検討されないまま中学校という新しい環境に対応しなければならなくなると、学校生活でのしんどさが増してしまいます。

そのため、小学校と中学校、家庭とが連携し、そうした課題についての克服方法や対処方法についてしっかりと話し合いをする必要があります。

 

スクールソーシャルワーカーは、こうした年代によって生じる問題についても勉強し、家庭や学校と連携しながらそれぞれの子どもが学校生活を送りやすくなるための手助けを行います。

スクールソーシャルワーカーになるためには社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得する必要があります。

社会福祉士については
社会福祉士と精神保健福祉士
あなたはどっち?~ジェネラリストとスペシャリスト~
の記事をご覧ください。

スクールソーシャルワーカーについては「スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの違い」の記事をご覧ください。

授業で実際にスクールソーシャルワーカーとして活躍されている方にゲスト講師としてお越しいただきお話を伺うことができます。
スクールソーシャルワーカーさんに、 ゲストスピーカーとして授業動画でお話いただきました!​ ​

他にもスクールソーシャルワーカーになりたい人はぜひ『「ヤングケアラー」を知ってください』も読んでほしいです。

浜内彩乃

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https://www.koka.ac.jp/welfare/


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