京都光華女子大学 看護福祉リハビリテーション学部※ 福祉リハビリテーション学科 社会福祉専攻 ニュース ソーシャルワーカーの頭の中~アセスメントからモニタリングまで~

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ソーシャルワーカーの頭の中~アセスメントからモニタリングまで~

ソーシャルワーカーが支援をするとき、どのようなことを考えているのでしょうか。
ソーシャルワーカーが支援対象者(クライエント)に出会ってから、支援が完了するまでの展開過程について説明をしていきます。

まず、クライエントと初めて出会う場をインテーク面接(初回面接)と言います。
ここでは、クライエントがどのようなことに困っておられるのか、何を求めておられるのかなどを聞き取ります。(ニーズの聞き取り
ここで重要なことは、クライエントがサービスの対象になるのかどうかを検討することです。
例えば、市役所の障害福祉課相談窓口に来られた方が、医療機関などに行ったことがなく、「障害者かどうかわからない」状況であれば、障害福祉課で相談に乗ることは難しいでしょう。
そうしたときには、「まずは医療機関へ」「障害の有無に関係なく相談できる窓口へ」など、その方の相談に適した場所につなぐことが必要です。

インテーク面接では、クライエントのニーズの聞き取りだけでなく、そこの場ではどのようなサポートができるのかを説明し、クライエントが今後もそこで支援を受けるかどうか判断をしてもらいます。
そうしたやりとりを行いながら、支援者とクライエントとの間で信頼関係の形成(ラポール形成)を行います。

インテーク面接を行い、クライエントのニーズを把握し、クライエントが継続して支援を受けるとなった場合には、アセスメント(事前評価)を行います。
アセスメントは、情報収集を行いながら問題分析を行うことを指します。
情報収集には、クライエントの家族関係、成育歴、現病(障害)歴、現状、関係機関などクライエントにまつわる情報を多角的に収集します。
クライエント本人から聞いたり、家族や関係機関から情報を得ることもあります。

ソーシャルワーカーはクライエント個人だけではなく、クライエントを取り巻く環境にも着目します。
そしてクライエントとその環境との間にどのような不具合が生じているのか、なぜ問題が発生しているのかを検討するのです。
このアセスメントをする際には「問題」だけに着目するのではなく、その人が「できること」にも着目します。

「できること」に着目することについては下記のブログを参照してください。
ストレングスモデル~「できないこと」より「できること」に着目~

アセスメント結果に基づいて、どのように問題解決をしていけばいいかプランニング(計画)を立てます。
例えば「就職できない」という方がおられたとして、この「就職できない」という問題を解決するためにどうしたらいいかを考えるのですが
A.これまでいくつかアルバイトをしてきたが、ミスが多くどれもうまくいかず、就職できない
という方と
B.どのように求人を探したらいいのか、履歴書をどう書いたらいいかがわからず、応募をしたこともなく就職できない
という方とでは
サポートをすることが異なると思います。

Aの場合は、いくつかやってきたアルバイトはどういったもので、どのようなミスが多かったのか。
そのミスはなぜ生じたかを検討し、どのような仕事の内容や働き方が向いているかを考える必要があるかをアセスメントする必要があります。
その結果を踏まえて、ミスが減らせる工夫を練習する計画を立てたり、本人が得意とする仕事内容を見つける計画を立てたりします。

Bの場合には、求人の探し方がわからないのはどうしてか。
どこでつまづいているのかを考え、どのようなサポートをすれば自分で求人を探せるようになるのかなどを検討する必要があります。
そのうえで、求人を探すための練習方法の計画を立てたり、いつ頃までに求人を探し始め、履歴書を書く練習をいつ頃から行うかの計画を立てたりします。

「就職ができない」というだけで、「じゃあ一緒にハローワークに行こう」など決めつけてしまうと
その方の困り感や、持っている力に気づかず、その方に適した支援ができなくなります。

アセスメントに基づいたプランニングを行うと、次はプランニングに基づいて、インターベンション(支援の実施)を行います。
先ほどのAの場合、ミスが減らせる工夫の練習を実際に実行していきます。
Bの場合には、求人を一緒に探す練習を始めていきます。

今回、AもBも本人がどうしていくかに着目して書きましたが、ソーシャルワーカーは本人への支援と、環境への支援の両方を行いますので、実際には、AやBの家族や周囲の人物、関わっている機関にもアプローチをかけます。
Aの場合には、例えばハローワークと協同することも考えられますし、Aが働きたいと思う会社にAのことを知ってもらうためのアプローチをするということも考えられます。

こうした支援の実施に関しては下記のブログも参照してください。
個人・集団・社会へのアプローチ~ソーシャルワークの重要な視点~

支援を実施してしばらく経つと、その支援方法で合っていたのかどうかを検討する必要があります。
これをモニタリング(経過観察)といいます。
Aの場合には、ミスを減らす工夫がうまくでき、本人の自信が回復してきているのであれば、アセスメントやプランニングがあっていたということになり、そのまま支援を継続します。
しかし、ミスを減らすことがなかなか難しく本人の自信がさらに低下しているとなれば、アセスメントやプランニングが誤っていると考え、何が誤っていたのかを検討しなおします。

支援がうまくいき、ある程度問題が解決してくると、エバリューション(事後評価)を行います。
どの支援方法が問題解決に有効だったのか、クライエントがどのように問題解決に向けて努力をしたのかなどを話し合います。
また再度問題が出てきたときにはどうするといいかなど、その後についても話し合います。

インターベンションをどうしたらいいかに目が向きがちですが、その前段階のアセスメントとプランニングがどこまでクライエントのニーズに基づき、クライエントのストレングスを見つけ、エンパワメントできているのかによって、インターベンションが成功するかどうかが分かれます。
アセスメントやプランニングには高い専門的知識が必要となりますので、しっかりと学んでいってください。


浜内彩乃


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