京都光華女子大学 看護福祉リハビリテーション学部※ 福祉リハビリテーション学科 社会福祉専攻 ニュース 個人・集団・社会へのアプローチ~ソーシャルワークの重要な視点~

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社会福祉って何?

個人・集団・社会へのアプローチ~ソーシャルワークの重要な視点~

社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得し、その専門性を活かした活動を行うことをソーシャルワークといいます。

そのソーシャルワークを行うにあたって重要なことが
ミクロ:個人
メゾ:集団
マクロ:社会
の3つの視点を持つことです。

具体的なお話をしましょう。
Aさん(20歳、大学生)がいるとします。

Aさんは京都光華女子大学の社会福祉専攻の2年生で、来年には実習が始まります。
しかし、Aさんは実習に行くことにとても不安を感じています。
失敗したらどうしよう、知識が足りなかったらどうしよう、日誌が上手く書けないかもしれない・・

社会福祉士の資格は欲しいし、現場を体験できることへの興味関心は高いのに
不安の方が大きくなってしまい、実習に行くことに前向きになれません。

このAさんに対して、みなさんが支援者としてサポートをするとしたら、みなさんはどのようなサポートを考えますか?

まずAさんの不安を丁寧に聞き、共感し、不安な気持ちを受容することを考える人は多いのではないでしょうか。
話を聞く中で、Aさん個人が抱えている価値観、思想、背景が実習への不安にどのように影響しているかを考えるでしょう。
過去の失敗体験が思い出されて不安なのかもしれません。
友達と比較して「自分はできない」と劣等感を感じているのかもしれません。
普段の授業の評価が思わしくないのかもしれません。

Aさんの不安が何かを具体化していく中で、同時にAさんの強み(ストレングス)にも着目していきます。
大学に毎日通えている
失敗の反省ができている
友達がいる
これまでの授業でもらった資料を保管している
優しい性格
Aさんの強みを活かして不安を軽減できないかを一緒に検討してみます。

友達と比較する客観的な視点がある
不安を感じることで事前の準備ができる
といった、リフレーミング(別の視点を持たせる関わり)を行うのもいいでしょう。
そのうえで「実習は失敗するところだ」「日誌は先生に相談したらいいよ」等、適切な助言をすることもあるかもしれません。

こうしたAさん個人に視点を向けることを「ミクロの視点」といい、
Aさん個人にアプローチすることを「ケースワーク」といいます。

ソーシャルワークはこれだけで終わりません。

Aさんの学年は30人の学生が在籍しており、全員が実習に行きます。
Aさんと同じように不安が大きい学生や、実習に対して期待が大きく、不安は少ない学生など
実習に対しての思いはそれぞれ異なっています。

そこで、学年全体がどのような雰囲気になっているのか、学年の様子に着目します。
Aさんが仲良くしている学生は誰か
学年はいくつのグループに分かれていて、それぞれどのようなグループか
学年の雰囲気はAさんにどのような影響を与えているか
などを見ていきます。

この学年は、全体的に仲が良く、どの学生も交流がある
真面目でおとなしい学生が多く、授業中の発言は少ない
実習に対するアンケートや教員への相談から、実習に対して不安を抱えている学生は多いが
それを学生同士で共有している様子は少なそう
といったことがみえてきたとします。

そしてこの学年全体や社会福祉専攻全体に働きかけを行います。
例えば
休み時間に、比較的発言量の多いBさんに話しかけ、実習への思いを聞いてみたとします。
実習に対してどのような思いがあるか、それはどうしてかなど。
するとBさんは「実習に対して不安はある」と口にしてくれるかもしれません。
おそらく、休憩時間、同じ教室に残っている学生たちはそうしたBさんの言葉を聞いているでしょう。
中には、話に入りたいと「私も同じ!」など声をかけてくる学生もいるかもしれません。

雑談が盛り上がるなかで「みんなで、もっと実習の不安について共有してみない?」と声をかけて
そうした機会を設けるものいいでしょう。
どのようにしたら、不安が軽減するかアイディアを出し合ったりしてもいいですね。
「1つ上の先輩に、どうしたか聞いてみたい!」という声があがるかもしれません。
そうすると、先輩に声をかけ、集まってもらう機会を設けてみるのもいいでしょう。

もしかしたら、他学科の実習はどのようになっているのか、不安はあるのかを聞きたいという声があがるかもしれません。
そうすると、他学科との交流の機会を設定することも考えられます。

このように、Aさんの不安をAさんとだけ解決するのではなく
Aさんが所属する集団に視点を向けることを「メゾの視点」といいます。
そして、集団にアプローチすることを「グループワーク」といいます。

そして、さらに大学内だけで考えずに
全国の実習を控えている学生はどのような不安を抱えていて、どのように不安の軽減に努めているかを調査したり
実習への不安が軽減されるように、実習前のボランティア活動や現場体験を多く取り入れられるように教員や福祉現場に協力を求めたり
と、地域や社会全体に視点を向けることを「マクロの視点」といい
地域や社会にアプローチすることを「コミュニティワーク」「ソーシャルワーク」といいます。

以上のように
ソーシャルワークは、困っている人に対して
ミクロ・メゾ・マクロの視点を用いて
ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク、ソーシャルワーク
を行うことで、問題の解決を試みます。

ソーシャルワークは「こうするのが良い」など答えが決まっているわけではありません
その時々で、個人や集団と向き合い、共に解決策を検討していきます。
支援者が一方的に「こうしましょう」などと決めておしすすめることもありません。
今回の事例であれば、AさんやAさんの学年がどのような声をあげ、どのようにしたいと望むのかを聞きながら対応を検討します。

こうしたソーシャルワークを行う専門職をソーシャルワーカーと呼びます。
ソーシャルワークに少しでも興味を持ってくれた人は、ぜひ一度オープンキャンパスに来てください。
社会福祉士と精神保健福祉士

浜内彩乃


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