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着物のデザイン、和菓子のデザイン

こんにちは! フード分野担当の桑島です。

実は私、着物好きの着物愛好家でもありまして。管理栄養士としての仕事では白衣が定番なのですが、着物好きが高じて、今年は授業ネタにあわせて時折着物で授業をしています。

 

着物の世界には「季節先取り」という言葉があり、季節を少し先取りしたような柄や文様を着用するのが「通」だと言われます。たとえば、着物姿を目にして、ああもうすぐ桜の季節だな、もうすぐ紫陽花がきれいな季節だな、と目で見て来たる季節を感じるという具合です。

 

7月の今、京都は暑さも半端ないのですが・・・少しでも目で見て涼しさを、と、氷や雪を連想させる「雪輪文様」や「氷割れ文様」などは、着物の世界では、夏向きのデザインとなります。

着物を楽しむようになってから、着物の柄や文様にどんな意味があるのかしら、季節は関係するのかしら、などと考えるようにもなり、日々のくらしの中でも季節により敏感にもなりました。

 

さて、先月、「製菓実習Ⅱ」で女性の和菓子職人さん青山洋子先生にお越しいただきました。この方は、京菓子とよばれる茶道のお茶会などにお出しする上生菓子を作っていらっしゃいます。京菓子についての講義・実演をいただき、学生自身が京菓子をデザインして、実際に菓子を作るという実習をしていただきました。

 
和菓子店青洋店主 青山洋子 先生

上段:こなし製  下段:きんとん製  右から順に、春・夏・秋・冬の表現

写真は、実際に先生に作製いただいた四季を具象的に表現した上生菓子(こなし)と抽象的に表現した上生菓子(きんとん)です。これに菓銘をつけることで、お菓子の表現する世界観が定まったり広がったりします。

特に京都の京菓子は、きんとんのように色だけでより抽象的に表現することが特徴だそうです。抽象的に表現された菓子を、まずは目で見て、菓銘を耳で聴き、食べる人がそこからさまざまなイメージを膨らませることができる、たった1つの和菓子ですが、ただ舌で味わうだけではなく五感を使って堪能できる、なんとも雅な時間ですね。

ちなみに着物好きの私目線で京菓子の話を聞くと。

和菓子で抽象的に表現するのがきんとんならば、着物の世界では文様にあたるかな、とか

着物の世界の夏着物は月月だけど、和菓子の世界の夏は、月の節句を過ぎたら、とか

見て楽しむ、は和菓子着物も共通でも、和菓子の世界では雪や氷の表現を夏とはしないのだ、とか

似て非なるところがまたオモシロイ。

今回ご紹介した授業では、和菓子のデザインがテーマとなり、いかに心に浮かぶさまを形に表現するか、が課題となりました。形にすることがデザインならば、着物のデザインは、着物という布の上での表現なので平面ですが、和菓子は立体で表現します。さらに広げれば、デザインとは、絵に書いても立体で表しても言葉で表現しても映像で表しても、とも言えます。

ライフデザイン学科では、生きることに関わるさまざまなデザインを学ぶ学科です。

プレゼンテーションの授業で、話す言葉を使って表現することを学んだり、さまざまなレポートで、書く言葉の表現を学んだり。フード分野の実習では、料理という形にして表現していただきます。

ぜひ、ライフデザイン学科でいろいろな分野にチャレンジして、自分に合う表現のしかたを見つけてください!