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社会福祉って何?

困った時の乗り越え方~ストレス状態への対処方法~

みなさんは勉強や人間関係、家族のことなど、日々の出来事の中で困ったことがあった時それをどのようにして乗り越えていますか?

社会福祉士や精神保健福祉士は困っている人たちのサポートをするお仕事です。
しかし、そうした専門職も人間ですので困ってしまったり、悩んでしまうこともあります。
そうした時に、上手く乗り越えられなければバーンアウトになってしまうこともあり、仕事を続けることが難しくなってしまいます。
そこで今回は、困った時の乗り越え方についてお話をしようと思います。

まず、困った時には、人は「ストレス状態」になっていることが多いです。
ストレスの原因となる刺激のことを「ストレッサー」と言い、「ストレス状態」とは、ストレッサーで心の容器があふれたり歪められたりしている状態を指します。

ストレッサーの種類

ストレッサーは、
・物理的ストレッサー(寒冷、騒音、怪我、満員電車など)
・科学的ストレッサー(公害物質、悪臭など)
・生物的ストレッサー(炎症、感染、空腹、睡眠不足など)
・心理的ストレッサー(怒り、不安、嫉妬など)
などに分類されます。

そんなものもストレッサーになるの?というものもありますよね。
また、寒さに弱い人は、寒いという状況は大きなストレッサーになりますが、寒さに強い人にとってはストレッサーにはなりません。
このようにストレッサーは人によって感じ方が異なります
困った時に対処するためには、まず「どういうことに困るのか」「どういうことがストレッサーになるのか」を知ることが大切です。
「他の人が平気」なことであっても、あなたにとっては「とても困る」ことになることもあります。

心理的ストレッサーの中には「環境の変化」も含まれます。
人は環境が変化するとストレス状態になると言われています。
この「変化」には、結婚、出産、進学、進級、昇進といったおめでたいものも含まれています。
旅行から帰ってきたらどっと疲れがでた、なんていう経験をしたことはないですか?
確かに旅行というイベントはとても楽しいものですが、あちこち移動したり、心が高まったりとエネルギーを消耗しているのです。
「ストレス」と聞くと、ネガティブなものを思い浮かべる人が多いと思いますが、こうしたポジティブなものであっても「変化」はストレス状態を作りやすいということを知っておいてください。

ですので、
「新しい単元の勉強が始まった」
「担当してくれる先生が変わった」
「就職・転職をした」
「新しい相談の対応をした」
といったことも「ストレッサー」になるということです。

これを知っていると
スクールソーシャルワーカーに必要な知識~小1プロブレムと中1ギャップ~
に書いてあることが理解しやすくなりますね。

「良いストレッサー」と「悪いストレッサー」

しかし、ストレス状態を作り出す「ストレッサー」は「悪者」というわけではありません。
ストレッサーは「刺激」だと考えてもらえるとわかりやすいと思います。
ストレッサーがない環境というのは、刺激がない環境とも言えます。
そのような状況になれば、楽しいと感じたり、何かに取り組むこともなくなってしまいます。
私たちの心や体が動くときには必ず「ストレッサー」があるのです。

そうなんです、実はストレッサーには「良いストレッサー」と「悪いストレッサー」とがあります。
例えば
「良いストレッサー」の中には試合や試験の時の適度な緊張感があります。
この適度な緊張感によって集中力が生まれ、力が発揮されます。
しかし、これが過度な緊張感になってしまうと、お腹が痛くなったり、試験に集中できなくなってしまうため、「悪いストレッサー」となってしまいます。

「良いストレッサー」は、心地よい刺激を与えてくれ、こころの容器を柔軟に広げてくれます。
一方、「悪いストレッサー」は、刺激が強すぎて、心の容器を壊してしまったり溢れさせてしまったりします。
まずは、自分の心の状態を見つめ、自分にとって「良いストレッサー」とはどういったものか、「悪いストレッサー」とはどういったものかを知ることが大切です。

ストレス反応

心の容器が悪いストレッサーで満杯になってしまい、容器が破壊されてしまうときに起こるこころの反応を「ストレス反応」といいます。
ストレス反応は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、心理的反応です。
不安、緊張、怒り、悲しみ、憂鬱、意欲低下といった心の反応が起こります。
2つ目は、身体的反応です。
身体的な異常はないにもかかわらず、動悸、頭痛、不眠、眩暈、食欲低下、下痢といった身体症状が出現します。
3つ目は行動反応です。
注意が散漫になったり、飲酒、喫煙、物に当たるといった行動をしてしまいます。

ストレス反応は人によって異なります。
また、3つの反応のうち、どの反応が出現しやすいかも異なります。
ストレス状態が大きくなった時、頭が痛くなったり眠れなくなったりと身体的反応が強く出る人や、飲酒や喫煙の頻度が増えるといった行動反応が増える人、落ち込んだり悲しくなってしまうといった心的反応が強くでる人もいます。
ストレス反応は、自分の心の容器が溢れそうになっていないかどうかの大事なサインです。
そのため、自分のストレス反応をしっかりと知っておくことで、こころのSOSに早く気づくことができます。
困った状況になった時には、まずこのストレス反応がでていないかどうかを確認しましょう。

ストレス対処

ストレス反応がでているときには、「ストレス対処」を行う必要があります。
ストレス対処の方法は大きく3つに分けることができます。

1つ目は、ストレッサーを「回避」することです。
避けられるストレッサーは避けてしまいましょう。
例えば、あまり得意ではない人に対しては挨拶程度にとどめて休憩時間などは話さないとか
書くことが苦手だったら、写メを撮ることで書かずにすますとかです。

2つ目は、ストレス状態を「解消する」ことです。
ストレッサーをなくしたり、避けたりできないこともあるでしょう。
相談員になった時「あの利用者は苦手だから・・」と避けることはできません。
そうした時には、リフレッシュできることやリラックスできることを心がけましょう。
リフレッシュできることは、運動をしたり、カラオケに行ったりと、体や心が元気になることです。
リラックスは、マッサージや入浴など、体や心をゆっくりと休めることができることです。
これらも、人によって有効なものが異なります。
自分の好きなことを日ごろから見つけておくことが大切です。
ストレス反応が出ているときには、こうしたリフレッシュやリラックスを積極的に取り入れましょう。

3つ目は、ストレス「耐性を作る」ことです。
ストレッサーに対して、耐える力を高め、ストレス状態になりにくくします。
そうすることで、心の容器を満杯にしにくくします。
ストレス耐性を高めるためには、自分の視点や発想を変えていくことが重要となります。
例えば、「お金がない」というストレッサーに対して、「お金がないから何もできない」という発想の人は、ストレス状態に陥りやすいです。
一方、同じ状況でも「お金がないからこそできる遊びを考えよう」という発想の人は、ストレス状態になりにくくなります。
視点を変えることは非常に難しいですが、友達や家族、恋人など周囲の人の意見を参考にしたり、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換してみるといったことを日ごろから心がけることで変わっていくことができます。

まとめ

困ったことが生じたとき、
①自分は何に困っているのか、どういうことで困りやすいのかを知る
②どれくらい困っているのかを知る
③「回避」「解消」「耐性を作る」の3つを試す
ことをしてみてください。

困った人を助けようと思うと、まずは自分自身を助けられるようになる必要があります。
社会福祉専攻の授業の中では「自己覚知」といって自分自身について知ることを大切にすることを教えることもあります。

こうしたことに興味がある方は、ぜひ一度オープンキャンパスに来てみて下さい。

浜内彩乃

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