京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 学生ブログ 「ライフデザイン特論Ⅰ」で西陣織の新領域を開拓する「細尾」を見学しました ライフデザイン学科2年 Y.U

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「ライフデザイン特論Ⅰ」で西陣織の新領域を開拓する「細尾」を見学しました ライフデザイン学科2年 Y.U

6月5日(月)「ライフデザイン特論Ⅰ」で、元禄時代に創業された西陣織の老舗(しにせ)「細尾」に見学に行き、12代目・細尾真孝さんからお話をうかがいました。


皆さんは、織物と言ったら何を思い浮かべますか?やっぱり着物や帯を思い浮かべる人が多いと思います。私も見学に行く前はそうでした。しかし、さまざまな種類の織物を使ってカバンやクツなどのファッショングッズや、内装材などがつくられていると知り、西陣織のイメージが変わりました。


hosoo_1「細尾」では、呉服市場が縮小の一途をたどる中、西陣織の高度な技術に裏づけられた高品質な商品を海外で展開できないかと、2006年からヨーロッパの見本市などに出展を始めました。しかし、西陣織の品質は認めてくれるものの、着物の生産を基準にした生地幅32cmでは他のアイテムに転用できず、ビジネスにはなかなか結びつきませんでした。




そこで、1年かけて世界で初めて150cm幅の織物ができる織機を開発して、今では海外のラグジュアリーなファッションブランドやインテリアメーカー、現代アート作家などとコラボした多くの商品を手がけるようになったそうです。特に、世界中のクリスチャン・ディオール、シャネル、ルイ・ヴィトンのショールームには、「細尾」が織った西陣織が壁紙として使われています。


hosoo_2見学させていただいた町家を改装したショールームには、和柄だけではなく、いろんな柄や素材がありました。織物の種類をいくつか見せていただき、印象に残ったものは立体的になっている織物です。その織物は、壁紙やソファに使われていました。





hosoo_3織り方が違えば印象が全く違うので、織物は奥が深いなと思いました。さまざまな工夫がされている織物だけど、身近に感じるものがたくさんありました。西陣織には、生糸の製造や糸染めなどの工程が20もあり、それぞれに職人さんがいて1つ1つ丁寧に作られているそうです。1つの工程に専属の職人さんがいて、すべてを同じ工房で行うのではなく、街全体で西陣織ができていると聞き、職人さんの連携があってこそ、すばらしい西陣織ができているのだなと思いました。


hosoo_4伝統のものは、どれだけ新しいことを取り入れても、決して壊れない強さがあると思いました。京都にはたくさんの伝統があります。それをいろんな人に知ってもらい、感じてもらうことで伝統が伝わっていき、いろいろな挑戦をすることで、今まで考えもしなかったことができるということを知りました。




先生のコメント

井川先生

京都には何百年と続く老舗がたくさんありますが、どこも単純に伝統を受け継いできた訳ではなく、時代時代で壁にぶつかり、考え工夫することでそれを乗り越え、今にその伝統を伝えています。「細尾」はその代表格です。

説明をしてくださった細尾真孝さんは、家業に戻る前は音楽活動やジュエリーメーカーで商品企画などに従事されていました。いろいろな経験が現在の柔軟な企業活動に生かされているのかもしれませんね。