京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 学生ブログ 百人一首のゆかりの地 嵐山亀山公園を散策しました ライフデザイン学科2年 S.M 1年 Y.K M.T Y.T

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百人一首のゆかりの地 嵐山亀山公園を散策しました ライフデザイン学科2年 S.M 1年 Y.K M.T Y.T

12月22日(火)「京の伝統文化を創る」の授業で嵐山亀山公園に行ってきました。この授業は、狂言、落語、百人一首など京都ゆかりの伝統文化について、それぞれ狂言師、落語家、百人一首研究家の先生から指導を受け、実際に体験するというものです。歴史家の先生と一緒に京都の町中に隠れた歴史の跡を見て回る「町歩き」もあります。



あらかじめ、ハンガリー出身の百人一首研究家のオルショヤ先生から百人一首について解説をしていただき、22日はオルショヤ先生をはじめとする先生方とともに百人一首ゆかりの地、嵐山へ学外見学です。





10時30分に阪急嵐山駅に集合、渡月橋を渡り、桂川上流方向へ歩き亀山公園へと向かいます。紅葉の最盛期は過ぎていて観光客も多くなく、特に亀山公園界隈は静かでした。桂川川辺から小高い丘を越え天龍寺裏の竹林の小径へとつながる道すがら、百人一首の歌碑が点在しています。それぞれの歌碑の前でオルショヤ先生から歌の意味、背景を解説していただき、百人一首の世界に浸ることができました。


また、各自、百人一首から一首選び、その歌をもとに自分で歌を作り、みんなに披露しました。その時読まれた歌を以下に紹介します。

S.Mさん
・自作の歌: 先見えず 不安にかられ 自己険悪 人生もまた 闇に消える
・解説:コロナによって先の見えない状態と自分の不安な状態を歌にしました。
・元の歌: 天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ をとめの姿 しばし留めむ(僧正遍昭)

(Y.Hさん)
・自作の歌: 咲くと聞き 山へ登ると 既に枯れ 下の花びら 崩れ落ちゆく
・解説:桜花が咲くことを噂で聞き、やっとのことで山に咲くと思われる桜のところに着いたが、もうとっくに花びらが散り終えて、下に散らばっている花弁も風でどこかに飛んでいき、もぬけの殻のようになってしまった様子を歌にしてみました。
・元の歌: もろともに あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし(大僧正行尊)

(T.Aさん)
・自作の歌: ボートのり 今は会えない あの人よ 今年の冬は ひとり悲しき
・解説: ボートに乗ったカップルは別れてしまうというジンクスを聞いて、ボートに乗って別れてしまい、今年のクリスマスをひとりで過ごす悲しい男性を歌にしました。
・元の歌: 筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる(陽成院)

(K.Yさん)
・自作の歌: 忘らるる いとまはなきや 秋扇 悲しきものよ 落ちのびしりと
・解説: 忘れ去られる私の身は何とも思わないけれど、いつまでも愛すると神に誓ったあの人が、(神罰が下って)命を落とすことになるのが惜しまれてならないという気持ちを歌にしました。
・元の歌: 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の をしくもあるかな(右近)


どの歌も「わー!すごい」と感心したり、「あーなるほど」と共感できるものでした。

先生方も詠まれた歌も紹介します。

(先生:1)
・自作の歌: 今こむとさえ言わず人待ちかねてなかなか明かぬ短夜の空(音流師)
・解説: 素性法師は「今こむと」歌を女性の立場で詠んでいます。「すぐ行くよ」と約束した男を待っているが、男が来なくて、待ってもいなかった有明の月が出てしまった、という意味です。私の本歌の場合、男は「すぐ行くよ」とさえ言ってもいないのに、あまりにも会いたくて、それでも待っています。あまりの寂しさのせいで一年で夜がもっとも短いという短夜(夏至)さえ長く感じてしまいます。
・元の歌: 今こむといひしばかりに長月のありあけの月をまちいでつるかな (素性法師)

(先生:2)
・自作の歌: おぼろ月 二人で渡りし 渡月橋 今宵川面に 映るはひとり(藤原我家)
・解説: 春、おぼろ月の下を愛しいあなたと2人で渡った渡月橋。今宵、晩秋の頃、同じ月の下で私は1人、渡月橋を渡り川面に映る姿を寂しく眺めている。
・元の歌: 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出し月かも(安倍仲麿)

(先生:3)
・自作の歌: 水鳥の 浮かぶ水面に さす影の ながきを見れば 冬ぞきにけり(H.A)
・解説: 夕暮れ、池に浮かぶ水鳥の影が長くなっているところに冬の到来を感じた気持ちを歌にした。
・元の歌: かささぎの 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞふけにける(中納言家持)

さすが先生です。(だと思います(笑))

1月には競技かるたの体験もあります。今から楽しみです。



先生のコメント

今回お世話になりました ハンガリー出身の百人一首研究家 オルショヤさん からコメントをいただきました。

2020年という、中々大変な年に、授業はどうなるかなと心配もしていましたが、無事散策ができて本当にうれしいです。作ってもらった本歌の中にもコロナ禍の不安をテーマにしたものがありましたが、共感しかありませんでした。しかし、暗い一首と言っても、皆同じく不安だな、一人ではないなと、思いださせてくれて、逆に励まされました。

ところで、「どうやって本歌を詠んだらいいかわからなかった」というコメントをいただきました。本歌にはルールがあって、百人一首の選者である藤原定家が特にこだわっていました。ですが、そのような縛りなく、自由に歌を詠むという楽しさを知ってもらいたかったです。どの歌も面白く、聞いていてとても楽しくて、皆さんの作品をもっと聞きたいなと思いました。もちろん色々なルールに則って作るのも楽しさの一つなので、是非やってみてください。もし歌を詠んだら、次の授業で聞かせてくださいね。