
京都光華大学の平松ゼミが図書館の「論文検索ツアー」に参加。CiNii Research、J-STAGE、日経BP記事検索サービスや書庫を活用し、京都のチョコレート文化の調査と卒業論文に必要な情報収集の方法を実践的に学びました。
分からないことがあったら、スマートフォンで検索する。高校生のみなさんにとっては、ごく普通の行動かもしれません。
では、大学で研究するときも、GoogleやSNSで検索すれば十分なのでしょうか。大学では、本やウェブサイトだけでなく、学術論文、専門誌、新聞、統計資料など、情報の信頼性や専門性を確かめながら資料を探すことが重要になります。そのため、「何を調べるか」だけでなく、「どこで、どのように調べるか」も大学で身につける大切な力の一つです。
2026年10月27日、京都光華大学社会学部社会共創学科の平松隆円准教授が担当する、キャリア形成学部キャリア形成学科3年生のゼミが、京都光華大学図書館の「論文検索ツアー」に参加しました。
大学図書館は「本を借りる場所」だけではない
大学図書館というと、大量の本が並び、静かに勉強する場所をイメージする人も多いのではないでしょうか。もちろん、図書を借りたり、自習したりすることもできます・
しかし大学図書館には、一般的なウェブ検索だけでは見つけにくい学術論文や専門誌、新聞記事、統計資料、電子ジャーナルなど、大学での研究に必要な情報へアクセスするためのさまざまな仕組みがあります。京都光華大学図書館でも、学生が必要な情報を適切に探せるよう、図書館ツアーや論文検索ツアーを実施しています。
今回は、図書館司書から直接指導を受けながら、より専門的な文献調査の方法を学びました。
CiNii ResearchやJ-STAGEで「先行研究」を探す
今回、学生たちが学んだのは、CiNii Research、J-STAGE、日経BP記事検索サービスなどを使った論文・雑誌記事の検索方法です。
CiNii Researchでは、国内の大学や学協会などで発表された学術論文をはじめ、研究データや研究プロジェクトの情報などを横断して検索することができます。J-STAGEでは、日本の学協会などが発行する学術雑誌や研究論文を検索・閲覧できます。日経BP記事検索サービスでは、ビジネスや産業、ITなどに関する専門誌の記事を調べることができます。
大学で研究をするときに重要になるのが、「先行研究」です。先行研究とは、自分と同じテーマや関連する問題について、これまでの研究者が何を明らかにしてきたのかを示す研究の蓄積です。自分の思いつきだけで考えるのではなく、これまで何が分かっているのか、まだ何が分かっていないのかを調べることで、初めて自分の研究する問いが見えてきます。
「京都はなぜチョコレートの都になったのか」を調べる
平松ゼミでは、2026年度後期のプロジェクトとして、「京都はなぜチョコレートの都になったのか?」をテーマに調査を進めています。
京都といえば、和菓子、抹茶、京料理などを思い浮かべる人が多いかもしれません。一方で、京都には個性的なチョコレート専門店やブランドも数多くあります。では、なぜ京都でチョコレート文化が広がったのでしょうか。
学生たちは、店舗を調べたり、実際に街を歩いたりするだけでなく、京都の食文化についての研究、観光についての研究、洋菓子やチョコレート産業についての記事。京都の消費文化や都市文化についての文献、なども調べながら、その答えを探しています。
検索ワードを変えると、見える研究も変わる
論文検索では、検索欄にテーマをそのまま入力すれば、必要な研究がすべて見つかるわけではありません。
たとえば「京都 チョコレート」で検索して十分な論文が見つからなくても、「京都 菓子文化」「京都 洋菓子」「都市 食文化」「観光 スイーツ」「地域ブランド 菓子」など、言葉を変えて検索すると、関連する研究が見つかることがあります。
つまり、文献を探すためには、研究テーマを別の言葉に置き換える力も必要です。どのキーワードを組み合わせれば、自分が必要としている情報に近づけるのか。検索結果を見ながらキーワードを修正し、さらに調べていく。こうした試行錯誤も、大学での研究の一部です。

書庫に入って研究誌を自分で探す
今回の論文検索ツアーでは、データベースを使った検索だけでなく、書庫に置かれている資料の探し方についても学びました。
大学図書館では、すべての本や雑誌が普段目にする開架スペースに並んでいるわけではありません。過去の学術雑誌や研究紀要などは、書庫に保管されているものもあります。
学生たちは、検索した論文がどの雑誌に掲載されているのかを確認し、その雑誌が図書館のどこに所蔵されているのかを調べ、必要な資料へたどり着く方法を学びました。これまで授業のレポートを書くために図書館を利用した経験はあっても、自分の研究テーマに関する学術論文を探し、さらに書庫から専門誌を探し出す経験は、学生たちにとって新しいものでした。
1年生で基礎を学び、3年生では研究に使う
学生たちは、1年生の前期にも図書館の利用方法について学んでいます。
1年生では、まず大学で学ぶために必要な基礎的な情報収集の方法を身につけます。そして3年生になると、それらの知識を、自分自身の研究テーマに実際に使っていきます。
今回も、「京都とチョコレート」という具体的なテーマを使って検索したことで、学生たちは単なる操作方法ではなく、「自分の研究に必要な資料をどう探すのか」を実践的に学ぶことができました。
来年度の卒業論文にもつながる学び
現在3年生の学生たちは、来年度には卒業論文に取り組みます。
卒業論文では、自分自身でテーマを決め、先行研究を調べ、必要に応じてアンケートやインタビューなどの調査を行い、その結果を論理的にまとめていきます。そのためには、信頼できる情報を探す力、複数の研究を比較する力、必要な情報と不要な情報を見分ける力、情報源を正しく示す力、が欠かせません。
今回の論文検索ツアーは、「京都はなぜチョコレートの都になったのか」という現在のプロジェクトだけでなく、来年度の卒業論文に向けた準備でもあります。

「検索できる」と「調べられる」は少し違う
インターネットを使えば、膨大な情報を瞬時に見つけることができます。しかし、検索結果の上に出てきた情報が、必ずしも最も信頼できる情報とは限りません。
誰が書いたのか、いつ発表されたのか、どのような根拠に基づいているのか、研究として検証されているのか・・・・・・。大学では、こうした点を確認しながら情報を扱います。
「検索できる」ことから一歩進んで、「信頼できる情報を探し、選び、使える」。それも大学で身につける大切な力です。
チョコレート研究はさらに深まります
論文や専門誌の探し方を身につけた学生たちは、今後、店舗調査やインタビューなどから得た情報と、学術的な文献から得た知識を組み合わせながら、「京都はなぜチョコレートの都になったのか」という問いをさらに深めていきます。
インターネットだけでは見つからなかった「京都とチョコレート」の関係が、図書館の資料から見えてくるかもしれません。



