2026.09.19 教員コラム

「髪は語る」―髪型から学ぶ日本の化粧文化 平松隆円准教授が神戸新聞文化センターで講師を務めます

髪型から日本の化粧文化を読み解く京都光華大学平松隆円准教授の講演



ロングヘア、ショートカット、黒髪、茶髪、前髪あり、前髪なし――。

私たちは毎日のように髪型を選んでいます。では、その髪型は本当に「自分の好み」だけで選んでいるのでしょうか。じつは、髪型には、その時代の「美しさ」の基準だけでなく、身分、性別、年齢、仕事、流行、社会のルールなど、さまざまな文化や価値観が映し出されています。

京都光華大学社会学部社会共創学科の平松隆円准教授が、神戸新聞文化センター(KCC)で開講される講座「髪は語る 髪型から学ぶ日本の化粧文化」で講師を務めます。

髪型をみれば、日本社会が見えてくる


平松准教授の専門は、化粧心理学、化粧文化論です。
化粧、髪型、服装など、人が身体を整えたり飾ったりする行為を「よそおい」と捉え、その背景にある心理や文化、社会について研究しています。

今回の講演で注目するのは「髪」です。たとえば、平安時代の女性にとって、長く美しい黒髪は重要な美の条件の一つでした。武家社会になると髪を結う文化が発達し、江戸時代には髷の形が多様化します。髪型は、美しさを表現するだけでなく、身分や年齢、職業などを示す役割も持つようになりました。そして近代になると、女性が髪を短く切ることそのものが、従来の価値観との関係で社会的な意味を持つようになります。

髪型の歴史を追うと、「その時代の人々が何を美しいと考えたのか」だけではなく、「どのような生き方が普通とされたのか」「男女にはどのような役割が期待されたのか」といった社会の姿までみえてきます。

「なぜ黒髪は美しいとされてきたのか」を研究


平松准教授は、髪と日本文化について長年研究しており、著書に『黒髪と美の歴史』(KADOKAWA)があります。
同書では、平安時代の長い黒髪から、武家社会の結髪、江戸時代の多様な髷、近代の断髪まで、さまざまな史料を用いて日本人と髪との関係を読み解いています。重要なのは、「昔はこんな髪型だった」と髪型の変化を覚えることだけではありません。

なぜ、その髪型が美しいとされたのか。なぜ、ある時代には髪を長くすることが求められ、別の時代には髪を結うことが当たり前になったのか。なぜ、髪を切ることが社会的な意味を持ったのか。

その「なぜ」を考えることで、髪型の背後にある社会や文化を読み解くことができます。今回の講演でも、身近な「髪」を入り口に、日本の化粧文化と社会の変化について考えます。

美容やファッションも、大学では「社会学」になる


「大学で社会学を学ぶ」と聞くと、少し難しいイメージを持つ高校生もいるかもしれません。
しかし、社会学が研究するテーマは、私たちの日常生活の中にたくさんあります。

たとえば、「なぜ就職活動になると黒髪にする人が増えるのか」「なぜ学校には髪型や髪色についての校則があるのか」「なぜ時代によって“かわいい髪型”は変わるのか」「なぜ男性と女性では求められる髪型が違ってきたのか」「SNSはヘアスタイルの流行をどう変えたのか」など。

こうした疑問も、立派な社会学の研究テーマです。普段何気なく見ている髪型から、ジェンダー、世代、学校、仕事、流行、メディア、消費、文化などへ問いを広げることができます。

「好き」を大学の研究に変える文化共創コース


平松准教授が所属する社会学部社会共創学科には、「地域共創コース」「文化共創コース」「スマート社会共創コース」の3つのコースがあります。

なかでも平松准教授が主に担当する文化共創コースでは、「なぜその文化が生まれたのか」「社会の中でどのような意味を持つのか」「その魅力をどう未来へつなげるのか」を考えます。

美容、ファッション、マンガ、アニメ、音楽、映画など、「自分が好きなもの」を入り口にして、歴史、社会、心理、ビジネス、メディアへと学びを広げることができます。

過去を知ることは、今の「当たり前」を疑うこと


化粧文化史を学ぶ面白さは、昔の珍しい髪型や化粧法を知ることだけではありません。
歴史を学ぶと、今、私たちが「普通」「常識」「きれい」と考えていることも、いつの時代でも同じだったわけではないと分かります。

「黒髪はまじめ」「長い髪は女性らしい」「この髪型は仕事にはふさわしくない」など、私たちが何気なく使っているこうした判断も、社会や文化の中でつくられてきた可能性があります。

一度「当たり前」を疑い、なぜそう考えるようになったのかを調べる。そして、異なる時代や文化と比較する。これは、社会学を学ぶうえで大切な姿勢の一つです。

文化を研究し、新しい価値を社会へ届ける


社会共創学科が目指しているのは、文化について知識を身につけることだけではありません。
文化を研究することで見つけた価値を、社会へどのように届けるかまで考えます。

たとえば、日本の化粧文化について研究した知識は、博物館や文化施設での展示、観光コンテンツ、出版やメディア、化粧品やファッションの商品企画、日本文化の海外発信など、さまざまな分野につながります。

過去の文化を知る。現代社会を分析する。そこから新しいアイデアを考え、人や企業、地域と協力しながら社会へ届ける。

これが、社会共創学科で大切にしている「共創」の学びです。

「髪は語る 髪型から学ぶ日本の化粧文化」


身近な髪型から、日本文化の意外な歴史をのぞいてみませんか。

「美容やファッションが好き」「日本文化や歴史に興味がある」「人はなぜ“美しい”と感じるのか知りたい」「身近なことを社会学で研究してみたい」

そんな方にもおすすめの講座です。


講座の詳細、開催日、受講料、お申し込み方法については、神戸新聞文化センター(KCC)の公式講座ページをご確認ください。

【講座概要】

講座名:「髪は語る 髪型から学ぶ日本の化粧文化」(全6回)

①10月22日「長い髪は美人の条件」
 平安時代、なぜ長い髪が美人のあかしとされたのか、その秘密に迫ります。
②11月26日「武士はなぜ、頭のてっぺんだけ髪がないのか」
 武士のあの独特の髪形が,なぜ生まれたのか。そこには武士だからこその理由が隠されています。
③12月24日「髪結いの誕生と日本髪」
 江戸時代に髪結いという職業が登場。これが今の美容師と理容師につながり多様な日本髪を生みだします。
④ 1月28日「日本人の嫌う白髪とハゲ」
 日本人は白髪と頭が禿げることを嫌います。その理由はなぜなのでしょうか。
⑤ 2月26日「丸刈りの誕生」
 1980年代は校則で男子中学生の髪形は丸刈りと定められました。なぜ、男子中学生の髪形は丸刈りだったのでしょうか。
⑥ 3月26日「良妻賢母としてのモダンガールの髪」
 大正時代に登場したモダンガールは時代の先端を行くと同時にその粧いは批判の対象でした。なぜ批判されたのでしょうか。

講師:平松隆円(京都光華大学 社会学部 社会共創学科 准教授)

会場:神戸新聞文化センター 六甲道KCC

時間:10:30~12:00

※開催日、受講料、申込方法などの最新情報は、主催者の公式案内をご確認ください。
※9月24日には、体験講座として「遊女が彩った江戸の化粧」が開催されます。



この記事をぜひシェアしてください

Xでシェア LINEで送る
一覧に戻る